風都探偵(18)
コミックス「風都探偵(18)」が3月28日!
風都の物語は最終章へ向け、加速する!
【『仮面ライダーW』正統続編 最新刊!!】
一風変わった風都の名所「卯ノ花荘」。
その美しき管理人を悩ますのは、
住民たちが突然他の部屋へ
移動するという怪現象で…?
優しき「奇人たち」の繋がりを脅かす不思議な事件。
夕陽と共に深まる疑念が探偵たちを弄ぶなか、
風の街を愛する者が、また一人動き出す!
<あらすじ>
鳴海探偵事務所にまた新たな依頼が持ち込まれた!
依頼人は、美しき管理人・卯ノ花つむぎ。彼女が管理する集合住宅「卯ノ花荘」では、室内で住民たちが鉢合わせになるという奇妙な事件が起こる。
「夕陽の色が……変でした。」
さらに、事件の日にはいつも夕陽の色がおかしいという情報から
風都湾岸特別廃棄場での事件を想起した翔太郎とフィリップは
裏風都で動く者たちの痕跡をつかむべく調査に乗り出したが…?
【編集担当からのおすすめ情報】
ときめのビギンズナイトが語られ、一時の平穏が戻った鳴海探偵事務所。
そこに現れた依頼人も、穏やかで美しい管理人で…
18集収録の「u」編は、悩める風都の人々の依頼解決に翔太郎とフィリップがまっすぐ取り組む久々の事件もの。
なのですが…!
穏やかな生活の裏でも、もう一つの街の思惑は当然のように進行していて…
シリーズ最強クラスの能力を持つ怪人の驚くべき能力とW最大の危機!
そして、亜樹子に迫る命のカウントダウン!
絶体絶命のピンチの中で助けはやってくるのか!?
見所盛りだくさんの内容となってます!
そして、
オビには『仮面ライダーW』キャストから
サンタちゃん(店長)を演じた 腹筋善之介さん
ウォッチャマンを演じた なすびさん
からの推薦コメントも掲載!
巻末には、お二人のマル秘エピソードが語られる特別インタビュー記事『この街の片隅で』も収録!また、18集に登場するドーパントを紹介する「ドーパント・ギャラリー」では、寺田克也氏によるデザイン画も掲載しています。
沢山のキャラクターたちが登場する満足度抜群の一冊です。
原作:石ノ森章太郎
脚本:三条陸
作画:佐藤まさき
2025年3月28日発売
価格:770円(税込)

※コメント情報いつもありがとうございます!
↓ 前巻「風都探偵(17)」のあらすじは ↓
前巻「風都探偵(17)」あらすじ
劇場版アニメ11月8日より期間限定上映!
遂に明かされるときめの過去編<ビギンズナイト>!!それは、まだ裏風都が生まれる前の、
彼女が魔女と呼ばれる前の話――
記憶を取り戻したときめは、
全ての“始まり”を語り始めた。もう一つの街を創るべく、永遠に囚われた少女。
万灯雪侍の思惑と暗躍する財団 X。
そして、悪魔の小箱がときめの運命を翻弄する―!!コン・テユ氏からも推薦コメントが到着!
TVシリーズ『仮面ライダーW』で加頭 順/ユートピア・ドーパント役を演じたコン・テユ氏がその撮影秘話を語る貴重なインタビュー『NEVER ENDING ROAD TO UTOPIA』も掲載!!————————————–
【ヒロイン・ときめの衝撃の過去! 『風都探偵』最終章突入直前!!】
記憶を取り戻したときめが裏風都から帰還!
そこは、奇しくも翔太郎が<ビギンズナイト>を語ったあの埠頭で…翔太郎のもとに現れた彼女は、その秘められた過去を語り始めます。
そこには、ときめの家族、幼少期、そして裏風都そのものの誕生にまで関わる巨大な謎が隠されていた!時を同じくして、風都で起きる「ある事件」。
風都と裏風都を結ぶ、『仮面ライダーW』ファンのみなさんもアッと驚くまさかの繋がりが明らかに!!そして、動き出し絡み合う万灯雪侍の思惑と財団Xの目論み…
『風都探偵』全体を貫く裏風都の物語が…
ときめの…翔太郎の…「家族」の物語が…
前代未聞の規模で語られる。さらに加速する風の街の物語。その行く先を目撃せよ!

Comment
新章は、21・22合併号から始まります。
スピリッツ21·22合併号より『風都探偵』新章のダイジェスト。
■CSMロストドライバーVer.2の宣伝
■(この裏に)カラー扉:ハードボイルダーを降りて夜の風都タワーを見上げる翔太郎。
■第153話『nは暗闇より出でて 1 / まさかの依頼人』
裏風都の本格的な活動開始に対抗すべく、情報収集のためにスナック&カフェ「白銀」にイレギュラーズを招集した二人の探偵。今回から鏡野空也も加わる。
ウォッチャマンと店長(元・サンタちゃん)が先に帰った「白銀」で口論する二人の探偵。翔太郎は、ロストドライバーを返せとフィリップに詰め寄るが、フィリップは頑なにそれを拒む。無理やりイレギュラーズも論争に巻き込む翔太郎。亜樹子によると、翔太郎の主張は、エターナルによって旧世代のガイアメモリが無力化された際、仮面ライダースカルが事務所に現れロストドライバーを外して置いていったという幽霊話だという。それに対しフィリップは、ロストドライバーを修復できたのは母シュラウド以外にいないはずなので事態打開のために彼女が密かに事務所にロストドライバーを置いたとしか考えられないと語る。事務所を休業にしようかと提案する亜樹子に対しては、口論を続けながらも依頼は受け続けるべきだと口を揃える二人。
事務所に戻った二人。そこでは亜樹子が隅にうずくまって震えていた。先に戻っていた亜樹子は、郵便受けに届いていた封書を開けた。その中に入っていたのは依頼状。亜樹子はその差出人の名を見て震えていたのだった。依頼状には、本日21時にディガル・コーポレーション跡地で待つとあった。ディガル・コーポレーションはかつて園咲冴子が社長を務めていた会社であり、現在は取り壊されて更地のままであった。
まずは一人で行ってみると現地に向かう翔太郎。約束の時刻その場には依頼状の差出人のとおりの人物の姿があった。スリーピースのスーツを着て全身にオーラのような光をまとったその男は、もうこの街には仮面ライダー以外に頼れる人間がいないと語る。胸ポケットの中のふうとくんキーホルダーを握り締める翔太郎。園咲霧彦との再開だった。
遅くなりました。スピリッツ24号より『風都探偵』のダイジェストです。
■CSMロストドライバーVer.2、3名にプレゼント
■第161話『nは暗闇より出でて 2 / 探偵と幽霊』
ありえない差出人から届いた依頼状に怯える亜希子。翔太郎はひとり指定の時刻に指定の場所に向かう。21時、園咲冴子の企業ディガル・コーポレーションの跡地の廃墟。翔太郎は差出人・園咲霧彦に再開し、思わず、内ポケットのふうとくんキーホルダーを握り締める。
園咲霧彦/ナスカ・ドーパントとの過去の記憶が蘇る。バード・ドーパントの事件の後、気持ちが通じ合ったかに思えた。そして、一般公募でふうとくんのデザインが採用された本人だった霧彦から、限定50個のレアグッズのふうとくんキーホルダーを貰ったのだった。霧彦はその直後に妻だった冴子に粛清され、事故死と報じられた。
「おまえ……… …生きてたのか!?」という翔太郎の問い掛けに、自分の現状を論理的に分析した上で「幽霊だとしか思えないな…!」と答える霧彦。驚く翔太郎。
そこにエクストリームメモリが飛来しフィリップが実体化する。初見の霧彦は、自分が死んだ後に君たちも随分と進化したようだなと感想を述べる。翔太郎には霧彦が建物の残骸に玉座のように腰掛けているように見えるが、フィリップには人型の蛍火のようなものにしか見えず、霧彦の話す言葉も一切聞こえない。ビートルフォンで撮影しても何も写らない。霧彦は手のひら大の瓦礫を手に持ってみせる。フィリップには瓦礫が宙に浮かぶのが見える。力を集中すれば現世の物質に短時間だけ干渉できる、この場所ではその力が強まる、ここで手紙を書いて投函した、と翔太郎に解説する霧彦。デンデンセンサーだと何となく人間のような輪郭を持つエネルギー体らしき像を捉えることができた。
依頼が何かを改めて霧彦に問う翔太郎。霧彦は死んだはずの自分がここに存在している理由を調査してほしいと言う。ためらわず快諾する翔太郎。その後に霧彦との会話をフィリップに説明すると、フィリップも賛成だと即断する。このような超常現象にはガイアメモリが関係している可能性が高く、自分達が追っている風都の危機に直結している恐れもある、とフィリップ。霧彦であるエネルギー粒子のサンプルを採取すると、早々にデータ化してエクストリームメモリへと消えようとするフィリップ。ここのように霧彦の力が強まる場所が存在することに何らかの理由があると考えるフィリップは、翔太郎には霧彦の生前の足跡を辿ることを指示する。イレギュラーズから誰かパートナーを選ぼうと言う翔太郎に、フィリップは、最適なパートナーは本人に決まっているだろうと言い残すと、姿を消しエクストリームメモリで飛び去る。
夜が明けハードボイルダーを駆る翔太郎。他人の目にはひとりに見えるが、翔太郎にとっては霧彦とのタンデムである。霧彦と関係の深い場所だと翔太郎の目に映る霧彦の姿が全身に近くなる。しかし、園咲家崩壊後に財団Xが手を回したのかミュージアム関連施設はことごとく跡形もなくなっていた。
有力な手掛かりがないまま15時になる。霧彦は高級喫茶カフェ・ウインドミルで休憩しようとひとり歩き出す。翔太郎達をビルの屋上から見下ろす、南米の民族衣装か儀式衣装のような髪飾りとポンチョを身に付けた人物がいた。その気配を感じたのか、霧彦は「……… …少々、嫌な風が吹いてきたな……」と呟く。
スピリッツ26号より『風都探偵』のダイジェストです。今回のお話、エターナルとの決戦時にWをCJGXに変えた「風都の風」の正体を説明する回なのかなぁと夢想しています…
■第162話『nは暗闇より出でて 3 / 嫌な風』
カフェ・ウインドミルにてホットコーヒーとバリバリドッグを2つずつ注文する翔太郎。屋外テラスのテーブルで霧彦の幽霊と向かい合って座っている翔太郎だが、他人からは一人に見えている。翔太郎は、レシートを見てその高額さに慄き、霧彦の分も後で自分が食べると宣言する。バリバリドッグの食べ方で霧彦と口論になり思わず立ち上がって大声を出してしまう翔太郎に、その横を通りかかった、ニワトリのフード付きパーカーにリュックの若者がビクッと驚く。周囲の人々に言い訳とお詫びをする翔太郎。
探偵事務所。亜樹子からいきさつを聞いた照井が、にわかには信じ難いが本当かとフィリップに尋ねる。一心不乱にPCに向かっているフィリップは「ぼくに質問をしないでくれるかな、照井 竜。今、必死に解明中だ」と視線も動かさず手も止めることなく答える。謝りながら怪奇現象は苦手分野ではないのかと心配する照井。「問題ない。だんだん興味が湧いてきたよ…………」と、何らかの解に近付きつつあるのか目を輝かせているフィリップ。
そよ風の吹くカフェ・ウインドミルのテラス。幽霊とはいえ霧彦と本音で話せることの喜びを口にする翔太郎。それに同意する霧彦。その時、翔太郎は霧彦の足先まではっきりと見えていることに気付き、霧彦もコーヒーカップを持ち上げてみて、会社跡地と同等のパワーが発揮できていることを確認する。この一帯で何か大きな仕事があったような気がすると、記憶を辿ろうとする霧彦。
その時、幽霊である霧彦の背後から何者かの手が伸びる。立ち上がってその手首をつかむ翔太郎。その手の主のニワトリパーカーの男はテーブルのソースを借りようとしただけだと言い訳するが、翔太郎は、その手が向かっていた方向から、パーカーの男にも霧彦が見えていることを指摘する。開き直ったか右手を翔太郎につかまれたまま、左手で霧彦につかみかかろうとするパーカー男。翔太郎はすかさず男を背負い投げる。宙を舞ったパーカー男だが、天地が逆になった姿勢のまま空中を漂い、あるテーブルの上に開くパラソルの上に静かに着地する。その男は、臨戦態勢をとる翔太郎と霧彦を見ると舌打ちをしてパーカーを脱ぎ捨てる。強まってきた風とともに現れた姿は、南米の儀式衣装のような髪飾りを被りポンチョを身にまとっていた。
「見るからに只モンじゃねぇ風体だ。この幽霊事件、おまえの仕業だな」と翔太郎。「…目ざといね、探偵さん」と謎の男。裏風都の一味かと問いただす翔太郎に、「見過ごしてくれないかな。僕は幽霊を捕まえに来ただけなんだ」と言いながら強まる風とともに空中に浮遊する謎の男。ハイドープ、と口走る翔太郎。裏風都やハイドープという知らない単語に反応する霧彦。逃げまどうカフェの客。「まさかとは思うけど、その幽霊を守る…なんて言わないよね?」と謎の男。「言ったらどうする?」と答えながらダブルドライバーを取り出す翔太郎。「……味わってもらうしかないな… そんな小物じゃない…一線級の『亡者』を!」と、目の前に掲げた左腕の腕輪に付けられた装飾をシャララランと鳴らす空中の男。男の左手から漂い出た2個の光の球が地上に降り財団Xの白制服を着た男女の姿となる。その2人はガイアドライバーを装着すると、ガイアメモリを刺す。
[タブー!][タブー!]
ドクロの楯と日本刀のような刀を持つタブー・ドーパントと死神の大鎌を持つタブー・ドーパントの亡霊が、少なくとも翔太郎と霧彦の前には姿を見せる。
スピリッツ28号より『風都探偵』のダイジェストです。
[カラー扉]空中に静止しエンジンブレードにメモリを装填しようとしているアクセルブースター。
■第163話『nは暗闇より出でて 4 / 死人使い』
地球の本棚に入るフィリップ。書物に目を通しながら、死者を蘇らせるメモリは無いと断言したものの例外がありそうだ、と考えていた時、腰にダブルドライバーが現れる。照井と亜樹子もその様子を目にする。翔太郎を呼ぶフィリップ。
翔太郎と霧彦の幽霊に、左手に髑髏の盾が装着され日本刀のような刀の二刀流の二足歩行の男のタブー・ドーパントと、死神の大鎌を持つやはり二足歩行の女のタブー・ドーパントが近付いて来る。サイクロンジョーカーに変身する翔太郎。霧彦に自分の側を離れるなと言う翔太郎。死人の自分にこれ以上危険はないだろうと答える霧彦に対し、敵の狙いは明らかに霧彦だったから霧彦を敵から遠ざけないと危険だと返す翔太郎。「ちっ、勘のいい男だな」と屋根の上に立つ謎の男。その男の「引き離せ」との指示でWに向かって駆け出す2体のタブー。
Wと2体のタブーとの戦闘が始まる。霧彦の幽霊は明瞭には感知できなかったフィリップにも2体のタブーははっきりと見えている。タブーの攻撃にも物理的な衝撃があり、カフェの什器も切断される。「…だが…おかげでこっちもぶん殴れるがよっ!」と女タブーにパンチを浴びせ大きく吹っ飛ばすW/翔太郎。殴ったWの右手がドロドロの粘液のようなものに塗れる。
距離を取った2体のタブーが同時に破壊光球を放つ。霧彦をかばいながら光球を避けるW。ブォンブォンとメタルシャフトが回転する音がして、爆煙を晴らしていく。[ヒートメタル!]幽霊のせいか、嘗ての園咲冴子のほうが破壊力があったと指摘する翔太郎。メタルブランディングで2体のタブーを一挙に薙ぎ払うW。
屋根の上の男がガイアドライバーrexを取り出す。タブーの残骸が溶け崩れていることを確認するWの頭上から風が吹きつける。空中には、ガイアドライバーを装着した筋骨たくましい肉体に鳥のような頭部がのった怪人が直立していた。「失礼したね。こっちの亡者の出来も今ひとつだった。物足りなかったろ?」と言うと静かに地上に降り立つ鳥人。裏風都の幹部であることをフィリップに看破された鳥人が霧彦を指して語る「訳あって幽霊を作ってる。その中にそいつが紛れてた。ところが、そいつは何故か俺の支配下から逃れた。その上、よりによって仮面ライダーの下へ向かいやがった……ふふっ。仕方ないか……風の導き…という奴だな。こっそり処分しようとしたが探偵さんにバレて失敗した。もうここまでだ」。「自分で戦おうってのか」と問うWに、「まさか。逆だよ、その幽霊に大した事ができないのはわかった。ここで撤退が利口だ」と答える鳥人。
ズンズンとタブーの残骸に近付くと男性タブーの残骸をさらに踏み潰し、「おまえをもう一度造り直してやる」と言うと大きくくちばしを開き、タブーの頭部の残骸を飲み込む。鳥人の頭部の背後に紋様の入った大きな円盤状のものが生まれる。鳥人の目の奥が光ると、鳥人の頭部だけがズポッと上方に抜けて浮かび上がる。その頭部の下部には鳥のような細い二本足が生えており、その足で、自分の肉体の中から、人間の素体のようなものの両肩を掴んで、上へと引きずり出す。円盤状の物の前まで人間の素体を引き上げると、円盤が裏返りサーチライトのように素体を照らす。すると素体は財団Xの制服を着た男の姿となり、さらにタブー・ドーパントへと変身する。再度出現した二刀流のタブーがWに襲いかかる。二刀をメタルシャフトで受け止めたWは、先程より確実にパワーが強まっていることを感じる。その隙に、頭部を身体に戻し空中を飛び去る鳥人。それを見送るしかない霧彦。
裏風都。千葉秀夫が完成させた施設を眺める万灯、少し離れた場所に立つ秀夫と双見光。万灯からノストと呼ばれた男が、霧彦の幽霊の処分に失敗したことを報告する。「念入りにやりすぎて傷口を広げたね。だが咎めはしないよ。君の判断は正しい。もう捨て置いて先に進もう」と万灯。双見光の質問に千葉秀夫が答える。彼は、計画が最終段階に入ったために世界中から招集された秀夫と同格の幹部三人のうちの一人である、と。さらに、ファー付きフードのベンチコートのような服装のシルエットと、髪を高く巻き上げ襟の高いコートを着たシルエットがあった。
スピリッツ30号より『風都探偵』のダイジェストです。謎の新幹部ノストが使うガイアメモリをフィリップが推理します。
■第164話『nは暗闇より出でて 5 / 霧彦の葛藤』
裏風都。千葉秀夫から、海外から招集された3人の幹部のことを聞かされた双見光。「まあ、ノストさんはぼくとは真逆の分野の人ですけどね… ぼくは科学(サイエンス)の人間ですが…」と秀夫。「? じゃあ……秘学(オカルト)…?」と光。「……当たらずといえども遠からず」と秀夫。
「仕上げてくれ、ノスト。早急に」と万灯が傍らの男に静かに語りかける。「…必ずミスター万灯の手にお届けする。………たとえ死んでも……ね!」後半語気が強くなるノスト。
カフェ・ウインドミルの屋外テラス。ノルドが逃亡のために残したタブー・ドーパントと戦うW。「プリズムブレイク!」CJXに変身していたWのプリズムソードがタブーの胴体を横一文字に両断する。タブーの骸が融け崩れる。Wに駆け寄る霧彦の幽霊。Wは変身を解除しフィリップと翔太郎に戻る。初めて見る最強のWについて会話を交わす霧彦と翔太郎。フィリップはタブーの残骸である液体を紙片で掬い取り採取すると、自分の仮説の検証のためか翔太郎に質問を始める。フィリップが到着する前に「風」を感じなかったかと聞かれた翔太郎は、ちょくちょく妙な風が吹いた、敵も生身のままで風に乗っていた、と答える。タブーに変身する前の人間の顔がよく見えなかったと言うフィリップは、翔太郎はどうだったかと聞く。フィリップ到着前の二人の財団X員も含め顔はわからなかったと答えた翔太郎に対し、霧彦は顔がわかったし見覚えがあったと言った。翔太郎から霧彦の発言まで伝え聞いたフィリップは納得したようで、事務所に戻ることを提案する、霧彦の幽霊も伴って。思いがけない招待に驚く霧彦。
鳴海探偵事務所。テーブルを挟んで対面する翔太郎と霧彦。椅子に腰掛けている霧彦は、亜樹子にはヒトかもしれない形をした淡い光の塊にしか見えず、照井には全く見えない。亜樹子が出したコーヒーに香りだけでケチをつける霧彦に、飲めもしないくせに文句を言うなとキレる翔太郎。翔太郎は霧彦の証言をもとに、ノルドが蘇らせタブーに変身させた二人の財団X員の似顔絵を完成させる。
そこにフィリップが現れ、タブーの残骸の液体の真空保存に成功したカプセルをテーブルの上に置く。その分析結果はいわゆるエクトプラズム、古来から心霊学などで霊的な存在を具現化するための依代となるとされている物質だという。この分析結果により敵のメモリを「ネクロマンサー」だと断定するフィリップ。フィリップは自分が想定した、ネクロマンサーが死者を復活させる原理の説明を始める。
自分の父、園咲琉兵衛の学説では、地球の記憶を運ぶ神経に当たる存在が「風」であり、地球の記憶と接続できる自分とサイクロンメモリとの適合率が高いこともそのためではないかと思っている。ネクロマンサー・ドーパントは、風の中に漂う特定の人間に関する地球の記憶を収集、体内に吸収し、自分の体液であるエクトプラズムを用いて具現化している。自分は地球の記憶を閲覧できるだけであり、それを人間にインストール可能なデータとしてガイアメモリに取り出すためには嘗てのガイアタワーのような巨大な設備が必要だった。ネクロマンサーは、それを「死者の再現」だけに限定することで一人の能力の範囲内で実現している。「では……結局、今の私はなんなのだ?」と問う霧彦に「……園咲霧彦の地球記憶…としか言えないな」と答えたフィリップは「ドーパントからエネルギーを与えられ、生前までの状態が再現されているに過ぎない。大雑把に言うなら『エネルギーを伴った記憶』」だと続ける。そのために、生前関係が深かった翔太郎とは会話までできるが、生前面識すら無かった照井には全く見えない、と説明するフィリップ。裏風都の目的を問う照井。フィリップは、裏風都の最終目的のために必要な人物を財団Xかミュージアムから蘇らそうとした中に園咲霧彦もいたが、彼は生前に既に改心していたため取り逃してしまい、秘密漏洩を恐れて始末しようとしたのだろう、と推理を述べる。
高笑いをすると椅子から立ち上がる霧彦「ありがとう!ご苦労だったね、鳴海探偵事務所の諸君!」。依頼は完了し、悪の傀儡のついでに生まれたただの記憶の塊なのであれば、ここでお別れして自然に消えるのが一番だろうと、去っていく霧彦。その言葉が聞こえる翔太郎だけが慌てて止めようとする。ドアを透過して外に出た霧彦を追いかけ呼び止めた翔太郎は、「またこいつを置いていくのかっ!」とふうとくんキーホルダーを差し出す。心が通じ合ったと感じこのキーホルダーを受け取った直後に霧彦が殺害されたことを知った、その時の後悔を熱弁する翔太郎だったが、霧彦はそれには答えずスゥーと姿を消す。事務所のドアを開いたまま「霧彦ぉ!!」と叫ぶ翔太郎。
風都はもう夕暮れだった。
スピリッツ33号より『風都探偵』のダイジェストです。ゲストキャラクターは霧彦だけではありませんでした。
■第165話『nは暗闇より出でて 6 / 小さな友情』
自分がネクロマンサーによって地球の記憶から一時的に蘇らされた存在であることを知り、去ろうとする霧彦。すり抜けて行った探偵事務所のドアを開け追う翔太郎だったが、既にその姿は消えていた。
チェアに腰掛け帽子で顔を隠しふてくされる翔太郎。「左、俺もそろそろ付き合いが長いからわかる。おまえがそういう子供じみた怒り方をするのは心を許した友だけだ。たとえばフィリップのような」と照井。翔太郎が霧彦の証言から描いた、同時に蘇らされタブーに変身していた財団X構成員の似顔絵を持った照井は、署で情報と照合すると言って探偵事務所を出る。振り返りもせず「後悔しているなら今度は逃がすな。とことん追いかけろ」と言い残して。亜樹子が笑顔で見送る。「翔太郎。照井 竜に賛成だ。今すぐ追いかけよう。その先にネクロマンサーがいるかもしれない」とフィリップ。「園咲霧彦はまた死んだ時と同じ事をする。この街のために。そうは思わないか」「助けに行こう。たとえ相手がかりそめの生命であったとしても。左 翔太郎はそれを見捨てられる男ではないはずだ」 と続ける。「わかったよ!おまえらがそうまで言うんじゃ仕方ねぇ!」と立ち上がる翔太郎。
フィリップによると、エネルギー体となった記憶が活性化する条件は、ネクロマンサーからエネルギーを補充されるか、関連が濃い場所で記憶そのものが補填されるかしかないという。翔太郎は、カフェ・ウインドミルで霧彦の全身が見えるようになったことに気付く。カフェの周辺に、ネクロマンサーが蘇らせようとしていた人物とタブーに変身した2人の財団X構成員と霧彦が一同に会していた場所があるはずだ、とフィリップ。先に現場付近へと向かう翔太郎。フィリップは照井の情報を待って施設を絞り込んでから向かうと言う。
この街を捨て置けない、どうせ死人なのだから、とカフェ・ウインドミル周辺をヨタヨタと歩き回り自分の姿が明瞭になる場所を探っていた霧彦は、見覚えのある巨大ビルを見つける。そこは嘗て財団Xにより遠大なデータ計算が行われていた施設であり、園咲琉兵衛の指示で、その施設で得られたデータを直接ミュージアムに届けるという使いをしたことがあった。
霧彦は、ビルの中に入り記憶に従ってフロアを進むと、研究室が再現されている部屋を発見した。タブーに変身していた2人が作業し、当時の園咲家の担当者が監督し、人間から何らかのデータを抽出するチェア型の装置に誰かが腰掛けていた。霧彦は、この装置で抽出されたデータを受け止って園咲家に届けたのだった。
「おかえり。迷子の幽霊くん」ノルドが霧彦に声をかける。霧彦に向かって右手を伸ばし問う「なんで戻ってきた?」ノルドに、「邪魔をしに来た」と答える霧彦。呆気にとられたノルドが自分が蘇らせた財団X構成員たちに「聞いた?」と問いかけるが、彼らはまるで聞こえていないかのように作業を続ける。「色々な人間を生き返らせてきたけどな、ここまでの失敗作は初めてだよ。一人で勝手に抜け出して仮面ライダーに告げ口しに行ってる時点で仰天ものだったのに……邪魔をする…だって? なんで?」とノルド。「愛する風都を守るためだ」と真剣に答える霧彦。「…マジか」ノルドは研究室のほうを向いて言葉を続ける。「この状況下の記憶が濃く必要だった。全力で風を集めたからその場に居合わせたおまえもついでに甦っちまった。だがまあ一応旧組織(ミュージアム)の幹部だったんだから害にはならんだろうと思ってたのに… 正義に目覚めちゃったりでもしたって事か?」視線だけを霧彦に向けるノルド。「…正義か。私の正義は一度紙のように引き裂かれた。他でもないそのミュージアムに。そんな薄っぺらいことじゃない。私を突き動かしているのは… あの日、確かに存在した………奇妙だが…小さな…… 友情だ…!」胸を張って答える霧彦。一瞬間を置き「…やっぱすげえな、死人は。理解が及ばねえ」と静かに言葉を発すると、いきなり右手で霧彦の首を掴んで空中に吊るし上げるノルド。「消えろ。もう二度とおまえみたいなハズレを引き当てないことを…切に願う…」。叫び声をあげ溶け崩れ始める霧彦。
低い機械音にノルドが気付いた時、すぐ横の壁面の一部が赤色化していた。
爆発音が響き太いビームが壁を貫通、破壊する。吹っ飛ぶノルドと霧彦。幽霊財団X員たちもさすがに意識がそちらに向かう。壁を破壊して出現したのは、アクセルガンナーと仮面ライダーWだった。ノルドが瓦礫をかき分けながら「仮面ライダー! なぜここにっ!?」と問いかける。ガンナーを切り離しバイクモードから通常形態に変形したアクセルが答える「貴様らを逮捕するために決まっているだろう」。「プラス! それとよ! ちっぽけな幽霊のダチを守るためだ」とかばうように霧彦の前に立つW/翔太郎。「フン!…キザな台詞を言う男だな」と霧彦。「フフッ ……おまえに言われたくねえ」と翔太郎。舌打ちをしネクロマンサーメモリを構えるノルド。メモリのロゴは、Nの字の左縦棒が左向きの髑髏、射線と右縦棒が髑髏から生えた首~足のない胴を模している。
パリン その時室内に陶器の割れる音が響く。「失礼ですが静かにしてくれませんか、あと115秒で終わるとこなので、それが済んだらお相手しましょう。あなたたちは常に戦いがお望みのようですからね。私はよく知っている……」人間から何らかのデータを抽出するチェア型の装置に座っていた男が、手に持っていたコーヒーカップを落として割った音だった。仮面ライダーたちは裏風都が真に復活させたかった人物が、誰かに気付く。装置から出した顔を仮面ライダーたちに向けたその人物は、加頭 順だった。
スピリッツ35号より『風都探偵』のダイジェストです。フィリップが遂に裏風都の目的を突き止めます。戦闘は期待どおりの展開に。
■第166話『nは暗闇より出でて 7 / 蘇る理想郷』
加頭 順を知らない霧彦に、W/翔太郎が、財団Xの幹部であり園咲冴子を愛し最終的にその命を奪った人物であることを説明する。装置に接続されたままの加頭が口を開き、当時は園咲家担当ではなく技術開発担当者という名目の最新技術の実験体に過ぎなかった自分は、霧彦のことを分不相応な妻を娶ったシンデレラボーイとして見ていたと打ち明ける。加頭から装置に転送されるデータを感じ取ったW/フィリップは語る「…………なるほど。全て理解した。裏風都の真の狙いは……ガイアインパクト……だったのか!」
アクセルがガイアインパクトについてフィリップに確認する。それはミュージアムの最終計画であり、地球の記憶を開放し人類を強制進化させるがガイアメモリに適性のない人間は消滅してしまうというもの。フィリップが自分が得た結論の解説を続けるー ガイアインパクト発動のエネルギー源として風都の地下に配置されていたはずの巨大インフラは、都市エネルギー開発を謳っていた当時この施設にあった組織により建造されており、その実体は財団Xだった。万灯はそのエネルギー機関を利用する準備を整えたものの再起動のためのプログラムが失われてしまっていた。それを脳内に記録していたのが加頭であったため、ネクロマンサーの能力で彼を完全な形で蘇生させたかったのだ ーと。「…そこまで見抜くか、全く恐ろしい奴らだよ、あんたらは。万灯さんが警戒するわけだ」とノスト。霧彦の証言により翔太郎が描いた二人の似顔絵が、ニール名倉と野々村奈美という財団Xの構成員でありこの施設の研究員であることを照井が突き止めたからだ、とW/フィリップ。
「さすがはフィリップくんです」脳内からのプログラムのダンプ作業を続けながら加頭も口を開く。加頭が実験体となったのは超能力兵士、死者蘇生兵士、ドーパントにとどまらず、その中には莫大な容量のデータを脳内に蓄積できるブレインバンクという技術もあり、財団Xの最高機密のプログラムは加頭の脳内に直接記録されていたのだという。作業が完了しプログラムが記録されたメモリカードが装置から吐き出される。頭部に接続されていたコード類を取り外し、メモリカードを手に立ち上がる加頭。死ぬたびに新たな技術を使って蘇生されては使われてきた自分も幽霊にまでなるとは思っていなかったが、こういう扱いには慣れっこだと、無表情のままに語る加頭が左手を腹部に右手を顔の前に構えると、ガイアドライバーとユートピアメモリが出現した。ユートピア・ドーパントに変身する加頭。「本人の記憶の中にあることならほぼ再現できるのさ。こいつには最も大量に俺の養分を注いであるからな」とノスト。この言葉に何かを思う霧彦。ノストもネクロマンサー・ドーパントに変身、その場にいた3人の財団X構成員の幽霊もそれぞれタブー・ドーパントに変身する。ネクロマンサーは体内から幽霊を取り出せるサイズであり一際巨体である。当時の園咲家担当者・南雲が変身したタブーは、両肩が髑髏のプロテクターとなっておりモーニングスターを手にしている。
ユートピアは杖を振るいビルの壁面を破壊する。そこから屋外の空中へと飛び出すユートピアとネクロマンサー。追うWの左腕にタブーのモーニングスターの鎖分銅が巻き付く。その鎖をエンジンブレードで断ち切ってWを送り出すアクセル。3体のタブーを一人で引き受ける形となったアクセル。「絶望が……いや…元いた地獄がおまえたちのゴールだ!」急加速しエンジンブレードを振るうアクセル、同時にガンナーAのキャノンも火を吹く。一瞬で寸断される3体のタブー。
隣接するビルの屋上に到達し、そこでユートピアからメモリカードを受け取るネクロマンサー。「ご苦労さん。あとはまあ養分が続く限り好きにしなよ」とユートピアに言い残すと、ネクロマンサーはふわりと風に乗って舞い上がる。
ネクロマンサーのその周辺に旋風が巻き起こり、その体はWの右足のキックで地面へと叩き落される。「風を操ることにかけてはぼくのほうが先輩だ」と地上に降り立ったW/フィリップ。起き上がるなり右手の甲から3本の矢のような太い針/爪を発射するネクロマンサー、かわすW。ネクロマンサーは、3本の長い爪を両手の甲に出現させると激しいラッシュでWに襲いかかる。その猛攻をかわすと蹴りを放って距離をとり、メモリを交換するかのような姿勢をとったWだったが、その瞬間、ユートピアに背後から羽交い締めにされる。感情を吸い取る力は使えないようだが他の能力は健在だと、重力を増してWごと地面に沈み込むユートピア、「どうせ残り少ない生命なら因縁深いあなたたちにお礼をしなければね!」。Wが身動きできなくなったことを見極めると、長い舌を伸びして右甲の3本の爪を舐め右手を振りかぶってWに突進するネクロマンサー。しかし次の瞬間ネクロマンサーの爪が貫いたのは霧彦の左胸だった。
思わず「おまえはっ」と声を発したネクロマンサーに対し、「左 翔太郎くんの背後霊…さ」と答える霧彦。Wがネクロマンサーとユートピアを追ってビルから空中に飛び出した際、姿を消してWに張り付き、今実体化したのだという。このまま霧彦を切り裂けば直接Wを攻撃できると、霧彦に爪を突き立てるネクロマンサーだったが、その爪は溶けていた。ネクロマンサーは、霧彦に逆に自分の体成分を吸収されたことに気付く。ネクロマンサーを蹴り飛ばす霧彦、「君が教えてくれたんだ。ネクロマンサーの養分さえあれば個人の記憶を再燃できる、と! だからあえて刺された。こうするためにね」。出現するガイアドライバーとナスカメモリ。[ナスカ!] ナスカの紋様が浮かぶ二枚の翼のような形状のエネルギーが輝く。「…超加速!」
ネクロマンサーとユートピアが上を見上げる。Wとナスカ・ドーパントの姿は一瞬にしてビルの屋上にあった。