(4月9日追記)
「新 仮面ライダーSPIRITS ロンリ-仮面ライダー編(1)」特装版の表紙が公開!
(4月5日追記)
「新 仮面ライダーSPIRITS ロンリ-仮面ライダー編(1)」通常版の表紙が公開されました!
(3月6日追記)
「新 仮面ライダーSPIRITS ロンリ-仮面ライダー編(1)」通常版が予約開始です!あらすじも公開!
(1月27日記事公開)
「新 仮面ライダーSPIRITS ロンリ-仮面ライダー編(1)」が4/16発売
「新 仮面ライダーSPIRITS ロンリ-仮面ライダー編(1)」が4/16発売!
大首領JUDOとの戦いは終わり訪れた平和。しかし、10人の仮面ライダーには、それぞれの日々にそれぞれの戦いが待ち受けていた…!
初期エピソード3巻と対を成すように描かれる10人の男達の辿り着く果て……!? ストーリーテラー村枝賢一が紡ぐ仮面ライダーの物語、その終着点を刮目せよ!
オールカラー小冊子つきの特装版をロンリー仮面ライダー編第1巻でも発売。
通常版と特装版では小冊子の有無と、カバーデザイン に違いはありますがコミックス本体の内容は同一のものです。
著者/編集:村枝 賢一(著), 石ノ森 章太郎(原著)
出版社:講談社
ページ数:192p
2026年4月16日発売
価格(特装版):1,188円(税込)
価格(通常版):792円(税込)

2026年4月16日発売 | Amazon価格:¥1,188 | JANコード:9784065429808 | ISBN:4065429803 | アーティスト:村枝 賢一 | 出版社:講談社

2026年4月16日発売 | Amazon価格:¥792 | JANコード:9784065429778 | ISBN:4065429773 | アーティスト:村枝 賢一 | 出版社:講談社





Comment
月マガ4月号より『新仮面ライダーSPIRITS ロンリー仮面ライダー編』の内容をご紹介。デストロンに招集されなかったトゲ一族とジバシリ一族を巡るV3編中編です。
第1章は本格的に活動を開始したバダンと世界各地で遭遇した9人ライダー(ライダーマンは過去編だったけど)のエピソードでしたが、ロンリー仮面ライダー編で語られる内容からは仮面ライダーたちは結局バダンや大首領の存在にかかわらず戦い続けていたということがわかります。その状況はこれからも続き、ICPOのSPIRITS本部長・佐久間ケンはそれを「地獄」と呼びます。悲しい物語です。
[連載第6話]
■風見志郎
イタリア・シチリア島のとある路地。異形の怪人に変貌したヤクザものに囲まれる風見志郎。ゲジゲジ、ヘビ、アルマジロ、シマウマ、ネズミ、ネコ、キツネ等と思われる怪人たち。ボスのエンツォは変身もせず余裕を見せ、ロンバルディ一家がジバシリ一族であることを知っているのであれば生かしては帰せない、それとも自分たち同様に変身できるのか、と投げかける。それを鼻で笑う風見の目前にあっという間に怪人が迫る。だがゲジゲジの怪人とシマウマの怪人を素手で簡単にあしらう風見。事前に結城丈二から、トゲ一族とジバシリ一族はデストロンから戦力として認められなかったという情報を得ていた風見は、怪人の手応えの無さにその事実を実感していた。風見を手強いと悟ったジバシリ怪人たちはサブマシンガンとハンドガンを取り出し、風見を狙い撃つ。しゃがんで佐久間ケンに託された分厚く大きいアタッシュケースを盾にする風見。風見はケースを開いてみる。そこには、赤い色をした、佐久間がバダン戦で装着していたものと同じタイプの装甲強化服が収納されていた。装甲強化服を見つめる風見。
同じシチリアの海岸近く、トゲ一族であるデ・ルーカファミリーの当主ヴィットーリオの屋敷。ICPOの潜入捜査官であることがバレた佐久間ケンはトイレに立て籠もっていた。ヘラジカ、ハリネズミ、カジキ、バラ等と思われる怪人たちが息巻く。ドアをぶち破ろうと言い出す怪人をヴィンテージだからやめろと止めるヴィットーリオ。トイレの中、佐久間はアタッシュケースを開く。自分が渡したV3をイメージした赤い装甲強化服を風見も装着していることを嬉しそうに想像しながら、佐久間は自身の純白の強化服を装着する。ゆっくりトイレのドアを開ける装甲強化服の佐久間。
銃撃を受ける風見。風見は赤い装甲強化服を見つめるがアタッシュケースを閉じてしまう。目にも止まらぬスピードでアタッシュケースの影から横へと飛び出す風見。慌ててサブマシンガンをそちらに向けるネコ怪人の銃弾が仲間のアルマジロ怪人の背中を誤射する。風見は懐から2丁のリボルバーを抜くと、さらに横っ飛びしながら怪人たちに発砲する。命中し倒れる怪人たちに近づき二丁拳銃を突き付けた風見は、「銃に頼るからそうなる。きさま等もジバシリならばその足にプライドを懸けるべきだ」と言い放つ。
「耳が痛え程に正論だな。だが、テメエが今手にしてる物は何なんだよ」と言うエンツォに対し、「フン。俺はお前達の様な特別な力は持ち合わせていないんでね。…だが、何なら今から素手で相手をしてやってもいい」と両手の銃をクルクルと回して路面に投げ捨てる風見。「肝の据わったヤロウだ。気に入った。ファルコ・ペレグリーノ、てめえはロンバルディ一家が雇ってやる」とエンツォ。
最初に、割った酒瓶を両手に風見に襲いかかったチンピラが、自分の顎を蹴り上げたこいつは許せないから殺しちゃいましょうと、エンツォに背後から声を張り上げる。エンツォの右足だけが逞しい馬の足に変化し、振り返りもせずその蹄でそのチンピラの顔面を蹴り上げる。吹っ飛んで空中を回転しグシャと路面に落ちるチンピラ。頭部から大量に血を流し失禁して痙攣するフランコという名のチンピラの頭部はユニコーンに変わっていた。「俺に意見だと? 百年早えよ、フランコ」と右足の蹄でガッガッと地面の石畳を蹴るエンツォは、変身したまま意識を失っているフランコに「ビビっちまったらそのナリを晒しちまうクセ、相変わらずのようだな」と更に吐き捨てる。
「いいんですか、エンツォさん。仲間が撃たれてるんですぜ」と変身していない手下が、腕を撃たれたキツネ怪人をかばいながら声を発する。「まあな。だが変身できない奴は無傷のはずだ」と言いながらエンツォの頭部が変貌していく。エンツォの言葉に風見が怪人しか撃っていないことに気付く手下達。首から上が、頭部の右上部だけに人間の顔面を残した黒い馬となったエンツォ。人間の顔と馬の顔とを分けているのは額から斜めに顔面を走る稲妻型⚡️の傷か痣である。馬の姿の左目は燃える炎のような形をしている。「因みに俺の通り名は『カヴァロ フルミネオ』だ。宜しくな、ファルコ」とエンツォ。「雷の馬」を意味する通り名に目付きが鋭くなる風見。人間の姿に戻ると「近い内に抗争がある。期待してるぜ」と風見と握手しながらその肩に手を置くエンツォ。
一方、デ・ルーカファミリーの当主ヴィットーリオの屋敷。窓の一つが割れる。内部では6体の怪人が氷漬けになっていた。佐久間の装甲強化服の左腕に装備されている冷凍ガス砲によるものである。変身できない者達ももう向かってはこないため、フェイスガードを上げて素顔を見せる佐久間。
「すばらしい。合格だ、コルナッキア・グリージャ。あんたみたいな男が最初からいてくれたら我らトゲ一族もデストロンに選ばれていたかもしれないな」と煙草を咥えてライターで火を付けるヴィットーリオ。「…だけどヴィットーリオさん」と口を挟む佐久間に、煙を吐き出しながら「いいんだ、ICPO(インターポール)とはそれなりの取り引きをすれば済む。デ・ルーカファミリーには、あんたの力が必要だ」と答えるヴィットーリオ。「それと…」と大きく吐き出した煙が晴れた時、そこにはオニオコゼの頭部が現れ、「この姿の時はドン スコルフィーノと呼んでもらおうか」とヴィットーリオ。
「なるほど… それで力が必要とは?」と佐久間。また大きく煙を吐き出し今度はオニオコゼの頭部から人間の素顔へと戻ると咥えていた煙草を手に取り口を開くヴィットーリオ、「…闘争だよ。デ・ルーカ(俺たち)と永い間対立してきたロンバルディファミリーというマフィアがある。またの名を『ジバシリ一族』。デストロンがあった頃からの因縁だ。新たな依頼があるまでに決着をつけておきたい」。「解りました。コルナッキア、力になりましょう」とヘルメットを脱ぎウインクをする佐久間。
日が暮れ夜となる。
ロンバルディファミリー/ジバシリ一族から一室をあてがわれた風見は、窓台に腰掛け、差し入れられているパンとワインを口にする。安らいだ顔付きとなる風見。
ハットの一部が点滅する。佐久間からの通信だった。デ・ルーカファミリー/トゲ一族から与えられた一室のソファに座る佐久間とハットとハットで会話を始める。二人はお互い潜入に成功したことを報告し合う。折角用意した風見専用強化服を使用しなかったと知った佐久間はその理由を問い詰める。
「あれはちょっと…派手過ぎないか」と風見。
「だって風見さん、変身した頭の色と同じじゃないですか」
「変わるのと着るのでは気分が違う」
「気分……」「せっかく風見さんのために作ったのに… 今自分が変身できないって事解ってます?」
「大丈夫だ。二丁拳銃で切り抜けた。それすらなくとも俺は戦える」
「ちょっと……怒りますよ」
黙る風見。
「言いたかないけど言わしてもらいます」と佐久間。「風見さん、あなたのその戦闘に対する執着心は異常です」
黙ったままの風見。佐久間は唾をのみ込んで言いにくかったことを一気に口にする。
「私がデストロンハンターとして共に戦っていた頃は、あなたの強さと揺るがない信念に憧れを抱いていた。ICPO(インターポール)に帰り後の情報によって風見さんがV3である事を知りました。ICPO(インターポール)はその後の記録を追いながら、いつかあなたたちをバックアップするべくSPIRITSの計画を進めていった……
それまで私はあなたの事を不死身なんじゃないかと思っていました。だが……違った……
あなたを突き動かす理由はいくつもあった ── ご両親の無念、デストロンの壊滅。その後、連綿と続く組織の出現に対し後発の仲間を鍛え支え戦い続けてきた…
もっと早く気付くべきでした。それは終わりのない地獄だという事を」
風見が口を挟む、「ケン…考えすぎだ」。佐久間の次の言葉に風見は軽くショックを受けた表情となる。
「この結論を出したのは私じゃない。立花さんです。
バダンとの戦いで使ってしまった捨て身の『火柱キック』。そして、変身不能の状態で戦い続け、ついに発動させた…帰って来た仮面ライダーV3。
記録によれば暴走した出力による破壊衝動は大首領JUDOに酷似していたとあります。ZXのプロトタイプであるあなたがそんな負荷にいつまで耐えられるのか…」
いきなり佐久間のいる部屋のドアが開く。光る二つの目。「誰と話してるんだ?」
驚いて立ち上がり、ハットの通信を切断する佐久間。
部屋の外でヴィットーリオが傍らの男に声をかける、「おい挨拶しねえか」。「こいつは『カルロ』、あんたの世話焼き係だ」と紹介された男は、ロンバルディファミリーでフランコと呼ばれていた男だった。エンツォの蹄で砕かれたのかマスクをして口元を隠している。ヴィットーリオは「こいつもトゲの一員だが毒も鋭さも持たねぇだらしない奴だ。それでも、あんたの世話焼き係くらいは務まるだろう」と紹介する。その男の正体はユニコーン男 ─ 地を駆け、トゲ/ツノも持つ。しかしロンバルディファミリーでは、エンツォからも、走力の低さを電話番もできない鈍足だと罵られていた。トゲ一族としてはツノを蔑まれ、ジバシリ一族としては走力を蔑まれる。俯きながらも血走った目を大きく見開いたままのカルロ/フランコ。
どこまで話を聞かれたかが気が気ではない佐久間。
手下から呼ばれたヴィットーリオは、「せいぜいこき使ってやってくれ」と言い残しカルロ/フランコを置いて去っていく。
ヴィットーリオが向かった先は地下室だった。そこには鉄格子で閉ざされた粗末な研究設備のある牢があり、一人の男がうずくまっていた。ヴィットーリオはその男に呼びかける、「ついに完成したそうじゃないか。拷問に拷問を重ねてきた甲斐があったってもんだ。なあ『犬神』」。
昨日発売の月マガ5月号より『新仮面ライダーSPIRITS ロンリー仮面ライダー編』の内容をご紹介。デストロンに招集されなかったトゲ一族とジバシリ一族を巡るV3編の3回目、風見志郎いまだ変身せず。
1巻カバー、通常版はZXと1号と2号、特装版は村雨と本郷と一文字。
[連載第7話]
■風見志郎
シチリア島、デ・ルーカファミリー/トゲ一族の当主ヴィットーリオの屋敷の化学的な研究設備付きの地下牢。殴られた顔面が膨れ上がり血を垂らしている汚い身なりの中年の男に、研究成果の提示を迫るヴィットーリオ。
その屋敷の地上の客室。佐久間の世話係を命じられた、トゲ一族ではカルロ、実はジバシリ一族ではフランコと呼ばれているチンピラがベッドメイキングを終え、ICPOのメンバーでありながら用心棒として雇われた佐久間に話しかける。デストロンを壊滅させたと都市伝説で聞くV3を知っているか、と。そんな男を倒せたら自分達でも英雄になれるか、と。その問い掛けに「いいですねソレ」と答える佐久間。
地下牢、ヴィットーリオの顔色が変わる。牢の中の研究者は、後ろから何者かに殴られて、成果を奪われたと言う。それが敵対しているジバシリ一族の手に渡るという最悪の事態を危惧するヴィットーリオに、「ヒ…ヒヒ そりゃ面白い」と答える研究者。それを聞き、床にしゃがみ込んでいる研究者の前で、いきなり床にうつ伏せになるヴィットーリオ。その頭部がオニオコゼに変化し、そのトゲが伸びて研究者の顔面や体を貫く。立ち上がるヴィットーリオ、倒れ込む研究者。しばらくすると研究者が「痛い痛い痛い」と叫びながらのたうち始める。致死量ではないため死ぬこともできず解毒剤もない毒の痛みにただ苦しみ続けるという、ヴィットーリオが与える罰だった。その研究者は、V3第11話にてドリルモグラを生み出した、当時のデストロンの医師、犬神だった。作戦失敗の処分から免れるために失踪し、転々とした挙句トゲ一族に転がりこんでいたのだった。ヴィットーリオは変身を解除しながら、犯人探しを命じる、身内でも疑え、と。
そこにカルロが歌手エレオノーラから電話が入っていることを伝えに来る。電話に出るヴィットーリオ。明日の舞台観覧の誘いとおねだりだった。ヴィットーリオは愛人であるエレオノーラに会いに出かける。その目を盗んで闇夜に消えるカルロ。
風見と佐久間はハットに仕込んだ通信機で会話をしている。佐久間はICPOの捜査どおり犬神博士がトゲ一族に捕えられていることを報告する。
カルロはロンバルディ一家/ジバシリ一族の頭領エンツォの屋敷の前の路地にいた。取り巻きを従えたエンツォに、カルロは、明日ヴィットーリオがタオルミーナの劇場に出かけることを知らせる。珍しくエンツォから褒められるカルロ、ジバシリでの名はフランコ。風見の件で口答えをしたため顔面を蹴って失神させたことを悪かったと詫びるエンツォ。フランコのマスクの下には顔の下半分全体に及ぶ、雷の馬エンツォの蹄の痕が付いていた。二階の窓縁に腰掛けている風見に向かって、襲撃が明日に確定したことを伝えるエンツォ。刃物を持って不意打ちした自分を一撃であしらった風見を睨みながら、パンツのポケットに手を入れるフランコ。
風見が先ほど佐久間と通信した内容、それは佐久間とカルロ(フランコ)との会話の続きだった。
── V3の名を出してきたカルロに、わざと乗っかって、さらに煽る佐久間、V3を倒して英雄になるという勇気は称賛に値するがデストロンの科学力でもなければ勝てない、と。するとカルロから「あんた犬神のこと知ってんのか」という言葉が飛び出した。思わずワインにむせる佐久間。ICPOだから当然だと答えた佐久間は、犬神博士と何か関係があるのかとカルロに問うが、カルロはそれ以上は言えないと口をつぐみ部屋を出て行った。
── 最後に、自分達の目的も風見の正体も知られていないことを伝える佐久間。
夜が更ける。エレオノーラと寝るヴィットーリオ。部下に襲撃準備させるエンツォ。自分のベッドの上で手のひらの上の物を血走った目で見つめるカルロ/フランコ。その手には、耳たぶ型のカプセルに注射針が付いた何かが3個載っていた。
翌日、遺跡のステージで歌うエレオノーラ。客席にはヴィットーリオとその取り巻きもいる。ヴィットーリオはエレオノーラの歌に涙を流している。部下の一人が、ロンバルディ一家が仕掛けてきたとヴィットーリオに耳打ちする。ヴィットーリオは既に、ステージの奥、エレオノーラの後方にエンツォの姿を認めていた。
路地では戦闘が始まっていた。高速走行で撹乱するジバシリの怪人達。装甲強化服を装着している佐久間は冷凍砲でその足を止める。公演中ゆえに銃の使用を避け、壁面に張り付けになっているヤギの怪人の喉笛にナイフを投げてとどめを刺し、路上に張り付いた怪人の後頭部を鉄棒で殴り続けながら、別の者が腹を蹴り続ける、トゲの怪人達。その様子を見かねて壁の向こう側の路地を覗く佐久間。そこにはトゲの怪人達と戦う風見の姿があった。
ヤマアラシの怪人の頭部に蹴りを見舞う風見。続いて、突進してくるカジキの怪人をかわし、その胴を両腕で掴まえるとそのまま天地逆に頭上高く抱え上げ、怪人を頭部から地面に叩きつける。風見は地面から小石を3個拾うとそれを敵怪人に投げる。3人の怪人に全て命中し見事に牽制となり、風見はその隙に移動する。弱いがその分用心深いトゲとジバシリに対し、今のうちに数を減らしておくか、と考える風見。駆けるその口元には笑みのようなものが浮かぶ。佐久間も、トゲの怪人に促され移動する。
終演後エレオノーラを連れて帰路につくヴィットーリオ一行、それを待ち構えるエンツォと取り巻き。デストロンという夢ももうない、自分達の因縁にも決着をつけようと、雷の馬の姿に変身するエンツォ。左右の男達もゲジゲジとオオカミかキツネ、そしてシマウマ?の怪人の姿となる。それを見てうろたえ喚き散らしながら、煙草を咥えて火を点けるヴィットーリオに抱きつくエレオノーラ。ヴィットーリオも頭部をオニオコゼに変えると、トゲを伸ばしエレオノーラを串刺しにする。血塗れになって倒れ息絶える愛人に目もくれず、「あーうるさかった」と煙草の煙を吐くヴィットーリオ。左右の男もバイソン?とハサミのようなツノを持つ虫の怪人へと姿を変えている。ヴィットーリオはお互いの戦士を闘技場で戦わせることを提案する。
闘技場。風見を前に3人のトゲ怪人が並ぶ。相対するは強化服の佐久間を先頭とした3人のジバシリ怪人である。双方の用心棒の一騎打ちでどちらがどちらに従うかを決める代表戦に口では合意したものの、お互い最終的には殲滅戦でケリをつけるつもりでいる。
戦場の広さと敵の人数の多さに困惑している佐久間だったが、風見は笑っているようにしか見えない。
夕刻に差し掛かろうとする空。「待てよ」との声があがる。「その二人まとめて倒したらキバもジバシリも俺を認めてくれるよな」と一人のチンピラ。
その男は、ドン・スコルフィーノ/ヴィットーリオからは「カルロ」、カヴァロ・フルミネオ/エンツォからは「フランコ」と呼ばれる。ドン・スコルフィーノ/ヴィットーリオはその時、カルロがスパイで犬神博士から薬剤を奪った犯人であることに気づく。
犬神から奪った薬剤を自分の首筋に注射するカルロ/フランコ。その体に痙攣が走る。
昨日発売の月マガ6月号より『新仮面ライダーSPIRITS ロンリー仮面ライダー編』の内容をご紹介。デストロンに招集されなかったトゲ一族とジバシリ一族を巡るV3編の4回目、村雨オリジナルのデストロン怪人3体、そしていよいよV3も登場です。
[連載第8話]
■風見志郎
シチリア島の劇場遺跡、デ・ルーカファミリー/トゲ一族とロンバルディ一家/ジバシリ一族との決着が、それぞれ双方に用心棒として潜入した風見志郎と佐久間ケンとの対決に委ねられようとした時、トゲ一族に入り込んでいたジバシリ一族のスパイ・カルロ(別名フランコ)が、デストロンの元医師・犬神から奪った秘薬を手に、自分が風見と佐久間を倒すと名乗りを上げる。
カルロ/フランコが犬神から奪った薬剤を自分の首筋に注射する。ジバシリ一族では足が遅いと蔑まれトゲ一族では鋭くもなければ毒もないツノを馬鹿にされたユニコーン男の姿に変身するが、普段と違って激痛が伴う。それを、生まれた時のような「目覚め」だと、白目を剥き涙を流しながらも堪えるカルロ/フランコ。
ジバシリの長、カヴァロ・フルミネオ(雷の馬)/エンツォから薬剤のことを問い詰められるがしらばっくれるトゲの長、ドン・スコルフィーノ(首領オニオコゼ)/ヴィットーリオ。
カルロ/フランコの変身はユニコーン男の姿となっても止まらず、両腕とツノが金属へと変化していく。右腕は刃を畳むことができる缶切りに、左腕は缶切り兼用の栓抜きのような形状に、一本角はコルク抜きのようなスクリュー型に姿を変えた。それは結託部族の怪人ではなく、ドクター犬神が生み出したドリルモグラと同様の、デストロン正規タイプの機械融合型改造人間の姿だった。最後には腰にデストロンベルトまで出現する。怪人「ユニコーンオープナー」の誕生だった。バックルのデストロンのエンブレムを目にするドン・スコルフィーノとカヴァロ・フルミネオ。カヴァロ・フルミネオは最弱の男がデストロンベルトを巻くことを馬鹿にする。
怒りに任せ大きく跳躍して風見に頭上から襲いかかるユニコーンオープナー。しかし、空中でユニコーンオープナーの左目を突き破ってスクリューが飛び出す。続いて両腕両足の様々な部位から無秩序に刃が次々と生えてくる。「いいぞ。もっとだ。もっと俺を 強く して…くれ」と呟くユニコーンオープナーだったが、結局は体内から機械に食い尽くされ、空中で四散し機械部品を撒き散らして消滅してしまう。ハットを押さえて、降ってくる部品を避ける風見。
ドクター犬神が開発したのは肉体の一部を機械化する改造強化剤だった。その劇薬ぶりに不平を漏らすドン・スコルフィーノのオニオコゼの眼球の動きに気付いたカヴァロ・フルミネオは、「雷の馬」の走力を発揮し風見の近くに落ちていた犬神の薬剤入りの注射装置を拾い上げた。カヴァロ・フルミネオとドン・スコルフィーノの命令を受けたジバシリ一族とトゲ一族の怪人達が、散らばるユニコーンオープナーの残骸の中から手の中に収まるサイズの注射装置を探しに群がる。足の速さが特長のジバシリは2個、トゲは1個を見つけ、それぞれのボスに届ける。
カヴァロ・フルミネオは、カルロ/フランコが機械に食われて死んだのは運というより弱さのせいだと断じ、この薬があればジバシリ一族がデストロンを再興することもできるかもしれないと言って、自分の逞しい馬の首筋に注射装置を押し当てる。
しかしそれはポーズだけであり、すれ違いざまに風見の首筋にいきなり注射をした。その強さを認める風見で試してみて残りの1本を自分に使うかどうかを決めるという。
体の中で何かが脈打ち始め、苦しみうずくまる風見。ハットが地に落ちる。風見の全身が光を吸収し、みるみる闇に染まっていく。「そう……か…… そろそろ終わりか」と呟く風見。佐久間はその言葉の意味が理解できない。やがてヒト型の闇と化した風見が立ち上がる。なおも光を吸収し続けるヒト型の闇。佐久間、ジバシリ、トゲが見守る中、ヒト型の闇の中に宇宙に輝く星のような大小の無数の光が瞬き始める。次の瞬間、頭部から胴体のセンターライン部と両胸がスケルトンのV3の姿が出現した。「か……帰ってきた仮面ライダーV3」と思わず口走る佐久間。その言葉に風見の正体を知ったドン・スコルフィーノとカヴァロ・フルミネオは、それぞれ自分の首筋に犬神の改造薬を注射する。やがて二人の姿が変貌し始める。
カヴァロ・フルミネオの頭部は、単眼ライトのバイクのカウル付きヘッドへと変貌し、そのライトの周りは炎に囲まれ、たてがみも炎の形となっていた。胸からは4気筒のバイクのエンジンが大きく突き出し、そこから肩越しに左右2本ずつ背後へとエキゾーストパイプが伸びている。腰の両脇にはホイールのようなものが現れ、ふくらはぎの部位はサスペンションとなっていた。デストロンベルトも出現している。「モーターサイクルカバァロ」である。
ドン・スコルフィーノの胸からは弦楽器が出現していた。右胸下の脇腹に弦楽器の胴があり、そこから左上に向かって弦が張られたネックが伸びる。首から下は古の旅芸人のような姿である。首の上にオニオコゼがそのまま乗っているかのようだった頭部は、目だけを隠したベネチアンマスク様の仮面が出現、その中央から頭頂には鋭く立体的なヒレのようなトゲが生え、牙の生えたヒト型の口が開く。こちらにもデストロンベルトが出現している。「マンドリンスコルファーノ」の誕生である。
ボスの強そうな姿に士気の上がった双方の取り巻きたちも全員怪人に変身する。ネコ、オオカミ、シマウマ、ムカデ、…、バラ、サザエ?、ハサミムシ?、バイソン、…
帰ってきたV3の姿であることから風見はまだ覚醒していないと判断した佐久間は、逃げるか敵と正面衝突するかを悩む。モーターサイクルカバァロは、エンジンと化した心臓に肉体を慣らす必要があると、立ち止まってエンジンをふかし続ける。
それならばとマンドリンスコルファーノがマンドリンを爪弾き始める。その音はトゲ一族もジバシリ一族もお構いなしに凶暴化させ自由に操ることができた。マンドリンスコルファーノは、V3を仕留めた者は新生デストロンの幹部にしてやる、と、全員を一斉に襲いかからせる。佐久間が冷凍砲の残カートリッジが少ない状況での応戦にためらっているうちに、一人飛び出すV3。V3の両手は、すれ違う一瞬で、ジバシリとトゲの全怪人を斬り裂いてしまう。その凄まじさに呆然とする佐久間。マンドリンスコルファーノは、操っていた怪人たちのダメージが思わず自分にフィードバックし、動くことすらままならなくなる。
一方モーターサイクルカバァロは、「暖機終了だ」と、エンジン全開でV3の周囲を走り始める。全身から血を噴き出し立ち尽くすマンドリンスコルファーノは、モーターサイクルカバァロの肉体の限界が近いことと相手にとどめを刺せる武器を持たないことを罵る。自分の加速に耐えきれず顔面に相当する単眼ライトが割れたモーターサイクルカバァロは、スクリュー状に変化したユニコーンオープナーの一本角を拾い上げて前面に構えると、V3に突進する。しかしV3は激突寸前で空高く跳躍する。V3が突然視界から消えたモーターサイクルカバァロの目前には身動きのできないマンドリンスコルファーノが立っていた。衝突してしまう両者。モーターサイクルカバァロが持っていたユニコーンオープナーの一本角はマンドリンスコルファーノの腹部を完全に貫通し、モーターサイクルカバァロの肉体は衝突の衝撃で大きく砕ける。
空高く跳躍したV3を見上げる佐久間。V3の二つのタイフーンがその前方へ向かって光を放ち始めた。
真っ暗闇の精神世界。目を閉じた風見志郎が水平に浮かんでいる。そのダブルタイフーン目がけて、遥か上方から一直線に光球が突き刺さる。眩く輝き始めるダブルタイフーン。
佐久間が目で追うV3は、跳躍の頂点で背面宙返りをする。その時には、帰ってきたV3から通常のV3の姿に変わっていた。それを目にした佐久間は、ふと、犬神の改造剤を打たれた時の風見の言葉「そうか… そろそろ終わりか」の意味に気付いてしまう。
V3は、空中での背面宙返りから、マンドリンスコルファーノに折り重なるモーターサイクルカバァロの背面に一直線に降下し、とどめのキックを炸裂させる。
佐久間が気付いたのは、風見は変身できなくなったことをまだ人間だった頃を懐かしんで楽しんでいたのだということ。ロンバルディ一家に供されたパンとワインの味わいも。頑なに装甲強化服の装着を拒み素手であしらい続けたジバシリやトゲの怪人との戦いさえも。
爆煙が晴れV3は風見の姿に戻る。佐久間は強化服のヘルメットを脱ぎ、風見に呼びかける、「おかえりなさい」。静かに振り向く風見志郎。
昨日発売の月マガ7月号より『新仮面ライダーSPIRITS ロンリー仮面ライダー編』の内容をご紹介。5か月にまたがったV3編が完結、風見志郎は次の地獄へと自ら進んで向かいます。そしてライダーマン編が開幕、結城丈二の敵はライダーマンスーツの原形だったアレです。変身不能になったわけではない結城丈二も、大首領消滅と共に失ったものがありました。敢えて戦いの渦中に飛び込む者にも平穏を望む者にも、運命の男達には闇が付きまといます。舞台は、日本(ZX)→欧州(1号)→日本(2号)→欧州(V3)→日本(個人的には身近な土地…)
[連載第9話]
■風見志郎
シチリア島での戦いは終わった。トゲ一族とジバシリ一族 双方の族長怪人が爆発した爆煙が晴れ、装甲強化服のヘルメットを脱いだ佐久間ケンが、復活したV3の背中を見つめる。風見が束の間の変身不能で戻っていた痛みや飲酒による酔いを味わっていたことに今さら気付き、折角V3カラーにあつらえた強化服を使ってくれなかったことにも納得する佐久間。変身解除する風見。
「ヒヒッ なかなか… おかげでいいサンプルが取れたわい」遺跡の物陰で独り言を言う者がいる。常人には聞こえないはずのその声が聞こえたのか、風見は落ちていたハットを拾うと背後へと投げる。佐久間の顔のすぐ横を猛スピードで通り過ぎたハットは、ブーメランのようにUターンして風見や佐久間からは完全な死角の物陰へと吸い込まれる。ハットのツバには刃物が仕込まれていたのか、汚い悲鳴と人が倒れる音がし床には血の海が広がる。「あれは…」と言う佐久間に、「犬神だろう」と答える風見。
風見は、元デストロンの医師・犬神の死体の確認すらせず、佐久間をせかしながら先を急ぐ。
風見「ケン…… 次に行こう」
佐久間「次って…」
風見「とぼけるな。デストロンの結託部族は他にもある…だろ。残る『ヒレ一族』と『ツノ一族』を叩き潰しに行くぞ」
ICPOの総力をあげても入手困難だった情報を風見が知っているのは、嘗てデストロンの幹部だった結城丈二が情報源だと悟る佐久間。
「それとさっきの話」と風見。
思わず「え?」と声が出た佐久間だったが、風見が変身不能状態を名残惜しがって口に出した「そうか…そろそろ終わりか」という言葉のことだと思い当たり「あ」と声が出る。
珍しくバツの悪そうな表情で「村雨には言うなよ」と釘を刺す風見。
■結城丈二
隅田川の下流に架かる新大橋と思しき橋を臨むかのような結城丈二。250ccのバイクのエンジン。
ロッキー山脈マウントロブソン。ゴードンのリハビリのための登山。日も落ち、携帯コンロで沸かした湯でコーヒーを飲みながら休息をとる一行。
村雨は滝から、結城丈二が「少年BAEM(ベイム)」の技術顧問を引き受けたと聞かされる。それは、バダン〜デルザーとの戦闘にも参加していた、元少年仮面ライダー隊員の、先天性虚弱体質の曽我部が起業した義肢装具開発・製作のベンチャー企業だった。Body Assist Equipment Manufacturer、「少年」は少年仮面ライダー隊へのリスペクトだという。
滝は、ゴードンの左肩から先の可変型義肢も結城が開発したものであることを村雨に明かす。ゴードンは、生身と同じ重さの上に、想像した通りに生身ではできない動きまで自由自在にできると自身の義肢の使い心地を語る。感心する村雨。しかしゴードンは個性に欠けることを嘆く。モーニングスターやミサイルを装備してほしかった、結城のカセットアームが羨ましい、と。
「ゴードン、もうバダンとの戦争は終わったんだ、だったら今は次に備える時じゃないのか?」と、自分の技術を民生品に活用しようとする結城を肯定する村雨。
「現状お前以外で変身できるのは結城(あいつ)だけの筈だぜ。奴は試作品(プロトタイプ)ナンバーから外れている。大首領喪失の影響を受けないからな。そんなあいつが生っちょろい事やってていいのかよ」とゴードン。
「結城さんなら── 結城さんならばこう言う。強い兵器程それを使わずに終わる事が最良の道だと……な」と村雨。
「戦った奴らが用済みになるってのは ちと複雑だが、本来、結城丈二に戦いは似合わないのかもしれないな」と滝。
「ちっ」と舌打ちをするゴードン。
携帯コンロの炎──
隅田川。東京都江東区門前仲町。
老マスターのカフェでモーニングを食する結城。
「おはよう結城さん」「おはようございます」橋を渡ったところの公園を掃除する下町っぽい婦人の一人から「今日あんたんとこの工場、テレビが入るんだって? チェックしとくから」と話しかけられる。結城は「いやあ、僕にはあまり関係なくて」と微笑みながら答える。
「少年BAEM」の工場。ボウリングのボールでも入っていそうなサイズのバッグをドサと置くと作業着に着替える結城。「はよう」「ちぃす」と挨拶する社員達だが、結城の挨拶は「おはようございます」だった。そんな結城を後ろからくすぐりながら「ゆ」「う」「き」「ちゃああん」「『ございます』はいらないよ」と言う眼鏡をかけた初老の男。振り返る結城から「内田さん」と呼ばれたその男は微笑みながら「おーいいね、その呼び方」と返す。すぐに「やめて下さい、工場長」と改まる結城に、「また他人行儀にするー」と腕を組む内田工場長。
そこに曽我部が現れ、テレビ局スタッフの到着を全社員に伝える。そして曽我部は結城に対し、開発者として結城の名を出さなくてよいのかと改めて確認する。自分のことを知られたくないからと答える結城。元少年仮面ライダー隊員、現在も仮面ライダー研究家を自認する曽我部は、内心、結城は10人ライダーの一人ではないかと疑っていた。その予想では結城丈二は仮面ライダーV3か仮面ライダーX。
曽我部が生放送でインタビューに答えている間、離れた場所で、ある社員が調整した製作物を見てあげている結城。
結城が朝食をとっていたカフェのマスターも、公園で結城に話しかけてきた婦人も、テレビ放送を視聴している。
結城の正体に思いを巡らせインタビューに上の空の曽我部を見て、公園にいた婦人は煎餅をかじりながら「大丈夫なのかい、この若社長」とボヤく。
「少年BAEM」の製品の特長は1か月も使用しているとAIが装着者の個性を学習し先読みして動作するようになることで、特許申請中。「BAE」(ベイ)というスラングは最も身近な愛する者を意味する。「どうかあなたの良き恋人になりますように」── 曽我部が番組の中で語る。
暗い研究室らしき場所でその番組を見ている白人がいた。「あなたの良き恋人」という曽我部の言葉に「いいね。実に悪趣味なコンセプトだ」と反応する。そして「だけど開発者がこいつだというのは嘘だね。この繊細過ぎるが故に滲み出る独特な癖。あの人はまたこんな裏方をさせられているのか。あなたはもっと評価されるべきだ、結城丈二」と呟く。眼鏡をかけた女性のような顔立ち、長い髪、前髪が顔の右半分を隠している。その背後のパネルには、沢山のコードが接続されたV3に似た何かがあった。
居酒屋、騒々しい中で結城と曽我部社長と内田工場長が飲んでいる。内田に「どうかあなたの良き恋人になりますように」という発言をからかわれる曽我部。
結城の胸ポケットのスマホが震える。取る前に切れてしまうがアンリからだった。
内田は一転して、この事業に下町の小さな自分達の工場を選んでくれたことに対し、熱く涙を流しながら感謝を述べる。
お開きになり、一人隅田川テラスを歩いて帰る内田工場長。「う~~~~~~ん 結城ちゃんはフワッとしてるよな。まあ根っからの善人なんだろうが。しかし何故か時折背中がこう…泣いてる様な雰囲気の時がある。前の職場で苦労して来たのかもしれんな。明日もこちょこちょして元気づけてやらんとな」。背後でカシャという物音が聞こえ、振り向く内田。
翌朝、工場に出社した結城は、内田工場長の死体が隅田川に浮かんでいたことを知らされる。死体を回収し警察が現場検証する川辺の上の道路に全社員が詰めかける。社員達が泣き悲しむ中、ひとり感情の無い冷めた表情の結城に、曽我部は違和感を感じる。
酔って落ちたわけではないということが社員達にも伝わっていた。
内田のことで持ちきりの工場に、資材の納品のトラックが到着する。停車したトラックの運転席に一人の社員が納品書を受け取りに行くとドライバーが姿を消していた。突然トラック後部のコンテナが開くと、横一列に並んだ四つの銃口のようなものが閃き、最前にいた三人の社員が顔面を押さえ痛みにのたうち始めた。
ヨロイ元帥に処刑されようとした自分を救ってくれた三人の部下の姿がフラッシュバックする結城。
トラックのコンテナから現れたシルエットは、V3に似ていたがその腹部には横一列に並んだ4個の小型の円が光を放っていた。
結城は、能面のような表情で、ボウリングのボールでも入っていそうなサイズのバッグに手を伸ばす。経験値の高い曽我部は、苦しむ三人の救護より優先して全員に退避を命じる。
「クワトロタイフーン」── 謎のシルエットの腹部の4個の小型の円内の風車が猛回転を始め、巻き起こった旋風に工場内が破壊される。意識の戻った社員達が重傷の三人の救護のために救急車を呼ぶ。ゴーグルを吹き飛ばされた曽我部が薄れた視力で周囲を探すが、結城の姿が見当たらなかった。
結城は夢を見ていた。── ヨロイ元帥に右手を溶かされる。三人の部下に助け出され脱出して密かに開発していたアタッチメントアームの装着手術を受けた。三人の部下のうち一人はカマクビガメに殺され川に捨てられ、二人はカマクビガメによって焼き殺された。── 目を覚ました結城は、自分がヨロイ元帥に処刑された時のように逆さ吊りにされていることに気付く。服もデストロン科学者陣の白タイツを着せられていた。そして、既に夜であり、自分が吊るされているのはJR総武線が走るJR隅田川橋梁であることを理解する。
「とてもよく似合ってますよ、結城丈二」「そして、それは私… 私が着替えさせた。フフフフ」と鉄橋の上から声をかけたのは、結城と同じデストロン科学者の白タイツを着た、金髪長髪の眼鏡をかけた白人だった。
吊るされた結城が静かに口を開く「………やはり君だったか、ジークムント博士」
「おや、よく解ったね。いや解るか、フフ…」とジークムントと呼ばれた男、その足下にはV3ヘルメットのようなものが置かれている。
結城が問う「何故 内田さんを殺した」
「あーーー…」「あのじじいはあなたを『善人』だと罵った。酷い侮辱だ。結城丈二は狂気の科学者でなくてはならない。他の取り巻きもそうだ。装着者のイメージを先取りする…だと。そんな物デストロンはとっくに開発していた。あなたも……私もね。『悪貨は良貨を駆逐する』そうなる前にあのクズ共は私が全部殺してあげる」とジークムント。
冷めた表情のままの結城。
「………あれ? 怒らないんだね。怒りなよ。仲間の死は君にとって耐え難いトラウマの筈だろう?」とジークムント。
「怒りはもう捨てたんだ」と静かに答える結城。
「捨てた? だったら何故こんな物を肌見離さず持ち歩いているんだい?」ジークムントは、ボウリングのボールでも入っていそうな結城のバッグの中に入っていたボールのような物を取り出して結城に向かって投げる。
それはライダーマンヘルメットだった。
「そうだな。もうデストロンがなくとも、あなたにはそれが……」 投げられたライダーマンヘルメットを逆さ吊りの結城がキャッチする。
「そして私にはこれがある!!」ジークムントの足下に置かれていたのは、V3の頭部と胸部が一体化したような物であり、ジークムントはそれを頭から被った。
ライダーマンヘルメットを装着し変身した結城は、右腕をパワーアームに変えると自分の足を縛っているロープを切断し、鉄橋の上に着地する。
ジークムントが被ったV3のヘルメットと胸部のような物からはスーツが展開され、ジークムントの全身を包む。
「やはりお前が完成させていたのか……デストロンライダー」とライダーマン。
デストロンライダーの姿はV3に似ていた。複眼は縦長ではなく横長で、頭部センターラインの白い部分の下部は、ライダーマンと同様に装着者の口元が露出している。タイフーンは横一列四連のクワトロタイフーンである。
── 休暇をとっているのか退職したのか、タヒチの海辺でヒナウと戯れる日傘をさしたアンリの姿
跳躍しながらパンチの応酬をするライダーマンとデストロンライダー。ロープアームのロープと鉄橋を使い大きくスイングして距離をとったライダーマンは、マシンガンアームの銃撃をデストロンライダーに浴びせる。クワトロタイフーンの逆回転による竜巻で銃弾をそらすデストロンライダー。クワトロタイフーンのに竜巻には濃硫酸が含まれており、ライダーマンは的確に口元をガードしたがヘルメットはダメージを受ける。
デストロンライダーのパンチを受けるライダーマン。
「どうだい? あなたが途中で放棄したこの力は。仮面ライダーV3の研究データから開発を進めていたデストロンライダー計画。あなたは脱走と共にそのデータを持ち出しライダースーツを急造した。しかし所詮簡易的な力。あなたは弱い。私は強い。私の方が強い!! どうだい? これでも『怒り』は湧いてこないのかい?」とデストロンライダー。
ライダーマンが答える「……言った筈だ、捨てたのだと。俺の怒りも生き甲斐も大首領と共に死んだのだ」。