(5月18日追記)
5月29日発売「風都探偵(20)」の表紙とあらすじが公開されました!
(4月11日追記)
「風都探偵(20)」がAmazonでも予約開始です!
(4月10日記事公開)
「風都探偵(20)」が5/29発売
『仮面ライダーW』正統続編、最終決戦へ!
スマッシュヒット中、『仮面ライダーW』正統続編!
風都の街が…消失していく!?
解決の糸口を探らんとする中、
裏風都の幹部が現れ
最後の要求を突きつけた!!
万灯への忠誠を強く誓う、はかなくも堅固な運命共同体。
消えゆく街で爆裂する歪な友情を前にして
風都を背負いし者たちの魂が叫ぶ!
【編集担当からのおすすめ情報】
万灯のおそるべき最終計画が発動し、
風都の街そのものが消えていく、という前代未聞の大事件が発生!!!
そんな理解を超えた状況のなか現れたのは裏風都の幹部、ジョニーとゼンダ。
彼らの凶悪なコンビネーションに対して、翔太郎たちは徹底的に追い詰められ…
『仮面ライダーW』から続く、風都の街の物語はついに最終決戦へ。
誰も予想し得ない怒濤の衝撃展開を目撃してください!
推薦コメントは、有馬鈴子(ゾーン・ドーパント)役を演じた魏涼子さんにいただきました。そして、巻末には魏さんのインタビューを収録。『W』で井坂深紅郎(ウェザー・ドーパント)を演じた、夫の壇臣幸さんとのエピソードは目頭が熱くなること間違いなしです!!!
石ノ森章太郎(著・原作) 三条陸(著・脚本) 佐藤まさき(作画) (著)
2026年5月29日発売
価格:792円(税込)


※コメント情報いつもありがとうございます!
↓ 前巻「風都探偵(19)」のあらすじは ↓
前巻「風都探偵(19)」のあらすじ
園咲霧彦、まさかの復活!?
ウルトラヒット中、『仮面ライダーW』正統続編!
あの日、ロストドライバーを残したのは
鳴海荘吉の幽霊だった?
長年の謎が深まる中、現れた依頼人は、
死んだはずの園咲霧彦で…?
懐かしき友と蘇る記憶。立ちはだかる亡者と動き出す最終計画。
「風」をめぐる戦いはそれぞれの運命を巻き込んで加速し、
愛と罪を背負った男がその生命を懸ける!
【編集担当からのおすすめ情報】
「あの時、翔太郎のもとにロスト・ドライバーを届けたのは、本当におやっさんだったのか?」
誰もが気になっていた長年の謎から開幕する本章。
そこに現れる依頼人は、かつて死んだはずの男・園咲霧彦だった?
一度は翔太郎に風都の街を託した男、その正体とは?
そして、動き続ける裏風都の最終計画とは?
最終章へ向けてますます加速する風の街の物語。
今回は、特に『風都探偵』ファンのみなさんだけでなく、
あの頃、『仮面ライダーW』を見ていた方々にぜひとも見届けてほしい!
そして、推薦コメントは、リリィ白銀役を演じた長澤奈央さんにいただきました。当時のエピソード満載のインタビューも収録しております!
原作:石ノ森章太郎
脚本:三条陸
作画:佐藤まさき
2025年10月30日発売
価格:770円(税込)






Comment
新章は、6/1発売のスピリッツ27号からです。
1週遅れではありますが、1日発売のスピリッツ27号より『風都探偵』の概要をお届け。新章は『aが最後の希望』、zの次はaでした。今回はなんと巻頭。
■[見開きカラー扉絵]完成した裏風都の風景を右に、左側には万灯雪侍、千葉秀夫、双見光。20巻のカバー絵となったイラストを右側に繋げると、裏風都を挟んで対峙する仮面ライダー陣営と万灯陣営という構図となる。
■第178話『aが最後の希望 1 / 来訪者』
整列する黒スーツにサングラスの集団。その目の前で、凄まじい悲鳴をあげながら、蒼い炎のリアクター・ドーパントに焼き殺される数体のロード・ドーパント。新風都の建設フェーズが終わったためロードメモリを捨てることを命じられたが、ロードメモリの中毒性に侵されその命令に逆らってロードメモリを手放さなかった者が粛清されていたのだった。変身解除した双見 光は自分に従った黒服達に、新風都の守り手としての新メモリ「Knight」を与える。
万灯の部屋を訪れ任務完了を報告する双見 光。汚れ役の遂行をねぎらう万灯。ナイト・ドーパントは42人になったという。ナイトメモリにロードメモリに劣らない危険性を感じていた双見 光だったが、新風都建設が完了した今自分もナイトメモリに乗り換えるべきかと万灯に問う。リアクターを使える人間は限られる、君にはあの青い炎がよく似合うと言われ、喜びと安堵の微笑を浮かべる双見 光。双見 光は回収したロードメモリは全て破壊したことも報告する。万灯は窓から外の景色を眺めながら、千葉秀夫が彼らしくないミスを犯したことを伝える。高くつくかもしれないと万灯。
千葉秀夫の研究室。液体が満たされたチューブの中には全裸のときめが眠る。テーブルの上には、ガイアドライバーrex.、ジョーカーメモリ、スタッグフォン。暗い顔でうなだれる千葉秀夫。
ハードボイルダーを事務所につけ、フィリップと照井と亜樹子がいるガレージに駆け込む翔太郎。ときめの置き土産に今気付いたのだという。翔太郎が内ポケットの一つから取り出したのはロードメモリだった。ボム・ドーパントの自爆を押さえ込むために消耗しもう余力のなかったときめが、生き残っていたゾーン・ドーパントとの最後の戦いの前に、万一の時のことを考えて自分しか教わっていない翔太郎の隠しポケットにこっそり忍ばせたのだろうと思われた。ドーパントメモリは精神を侵す毒素を取り除かないとWやアクセルは使えないので時間が欲しいと言うフィリップ。いっそ自分が直接ロードメモリを挿すと言い出す翔太郎だったが、押収したガイアコネクタ押印機は警察にあるものの、そんなことを許すわけにはいかないと照井。あきらめてロードメモリをフィリップに託した翔太郎は、できることのない自分にいてもたってもいられず、街を見回ってくると言って出かける。
ハードボイルダーを止め土手から見渡す風都は、穴だらけのように建物が手掛かりとともに消滅しており、無力感にさいなまれそのまま土手に座り込む翔太郎。
「失礼。……少しお話、いいかしら?」翔太郎は、黒いドレスに日傘をさした白人女性から声をかけられた。
観光客だと名乗るその女性は、「10分だけ時間頂ける?」と言うとデジタルストップウォッチを取り出してスタートボタンを押した。大変な時に観光に来たなと話しかける翔太郎に、あちらの街はさぞかし楽しくなっているんでしょうけど…と答えた女性の言葉に、翔太郎は色めき立ち思わず立ち上がる。
「…そうだったわ。白い服を着てくれば、わかりやすかったのかも……」と女性。
「白い服」が財団Xの制服を意味することに気付く翔太郎。
6月15日発売のスピリッツ29号より『風都探偵』『aが最後の希望』編の概要をご紹介。
■第179話『aが最後の希望 2 / 財団の女』
「はじめまして」翔太郎に話しかけた黒衣の白人女性は、元財団X局長で加頭 順の上司だったネオン・ウルスランド(演:ガウ)だと名乗った。
風都を実験フィールドとしてガイアメモリを蔓延させた張本人と知り、喧嘩腰になる翔太郎。それに対し、財団Xの投資対象としてガイアメモリを承認したのは自分だから責任者だったかもしれないとウルスランド。現在は財団Xが解体状態となり現役を退いて余生を過ごしているというウルスランドは、仮面ライダー左翔太郎と少し話をしたいだけだと言う。
ネオン・ウルスランドはまず財団Xについて語る。財団Xは、世界征服を企む秘密結社などではなく、死の商人と揶揄されるとおりシンプルな「金の亡者」だという。── 投資対象だった「NEVER」と「ヴィレッジ」── 現在は新規テクノロジーへの投資からも撤退しつつあり、分裂・解体を繰り返しているためこのまま消滅するかもしれない、と。
その傷痕がこびりついている犠牲者としての風都の立場で、財団が消滅するのであればそれは天罰だと翔太郎。
ガイアメモリの悪魔的な特殊性を語り始めるネオン・ウルスランド。ガイアメモリはそれに魅せられ捨てきれない者が後を絶たず途切れることがないため、今の風都のような災いを呼び続けている。財団Xの元関係者からもそんな連中ばかりが次々現れる。ガイアメモリは魔性の小箱であり、風都は、常に全ての災いが集まってくる魔性の街だ、とウルスランド。
金の亡者でしかない財団から見れば、自分たちだけの世界を作り上げようとする万灯雪侍は理解不能の恐怖の対象でしかなく、かつて一度は制裁を試みたが失敗した。そして、今度は完全に手出しができない状況に陥ったことを知って、自分でもよくわからないまま風都に来ていたと告白するウルスランド。「………これがあなたの言う『罪』の意識、ってものなのかしらね。……仮面ライダー」
「どうする? ここで私を始末でもする?」とネオン・ウルスランド。
「……今はそれどころじゃねぇ。そうしたところで事態も良くならねぇしな…… それに……… あんたなりに…罪を数えているようにも見える。ただ俺が甘いだけかもしれねぇが…」と翔太郎。
仮面ライダーの人間性を直接確かめた結果なのか、かすかにほくそ笑むウルスランド。「……話はここまで。時間をありがとう」と言うと、手に持っていたストップウォッチの停止ボタンを押す。9分55秒だった。「ああ、いけない、忙しかった頃の癖でつい…… もう時間なんか腐るほどあるのに」と言い残すと歩き去るウルスランドだったが、ふと足を止めて翔太郎に背を向けたまま振り返らず口を開く「…………そうだ。あなたと相棒に一つキーワードをあげるわ」。
「astogurion(アストグリオン)」
「おそらく……最後の希望になる言葉よ」そのまま歩き去ってしまうネオン・ウルスランド。
それを見送ると停車しているハードボイルダーへと駆け出す翔太郎。
惑星の本棚で「アストグリオン」を検索するフィリップ。
パタン…と手にした本を閉じ「検索を完了し、全てを閲覧した」と一堂が待つ現実世界へと戻ってくるフィリップ。アストグリオンとは、脳細胞や筋肉、全身の神経などを超活性化させる効能を持つ、極めて貴重で生産量が少ない薬剤だという。そして、この劇薬を必要とする人物は、父親であるハルバー・ヘルスタインによる不老不死研究の実験台だったフィルデオ・ヘルスタインこと千葉秀夫しか思い当たらない、そして半死半生兵士の戦場での蘇生用として権利を有しアストグリオンを製造していた財団Xは、千葉秀夫が裏風都に確保していたそのストックが尽きかけていることに気付いているのではないか、と推理を述べるフィリップ。
この情報に飛び付き、アストグリオンの在り処を突き止めてくれ、とフィリップに詰め寄る翔太郎。
「落ち着け、左。そっちの調査は俺に任せろ」と翔太郎を止める照井。フィリップにはロードメモリの解析に専念してもらったほうがいい、と。
捜査に向かおうと背を向けたまま、照井が語り始める。「……普段なら言わんが…言っておく。鳴海探偵事務所には感謝している。みんなのおかげで道を間違えずに済んだ」「永遠の伴侶にも出会えた」自分を見てこう言われた亜樹子は、これが実質的なプロポーズだったのか、顔面に喜びが溢れる。翔太郎に向き合い亜樹子を傍らにして照井が続ける。「街の平穏を取り戻すのは警察官として当然の義務だが、これはおまえへの義理だ。左は放っておくと危なっかしいからな。早く事件を解決し、愛する女性を取り戻して身を固めろ」「少しは落ち着くぞ。俺で証明済みだ」
「とっ!突然、何言ってんの、おまえ?」と驚きうろたえ声が大きくなる翔太郎。
「俺に質問をするな。連絡を待っていろ」と事務所のガレージを出て行く照井。
「……だってさ〰️!」と顔面が喜びに崩れたままの亜樹子。心から翔太郎を思う照井の言葉に微笑むフィリップ。フッ…とため息をつくと「……照井の野郎っ………!」と翔太郎。
震えながらテーブルに突っ伏す千葉秀夫。液体が満たされたチューブの中ではときめの精神改造が続けられている。裏風都の千葉秀夫の研究室である。
万灯の「千葉秀夫が彼らしくないミスを犯した」という言葉が気になった双見 光が訪れ、声をかける。ビクッと驚いた千葉秀夫は、双見 光との会話にも突っ伏し顔を伏せたままである。
チェアの背にかけられたときめの衣服。テーブルの上の、ガイアドライバーrex.、ジョーカーメモリ、スタッグフォン。
ときめが手に入った嬉しさで注意が散漫になっていたのか、ときめの所持品の中にロードメモリがないことに暫く気付かなかった。仲間に渡してあった可能性が高い。ドーパントメモリを仮面ライダーが簡単に使用できるわけではないが、向こうにも厄介な天才がいる。── 双見 光も万灯が言った千葉秀夫のミスの具体的な内容を理解した。
自分の迂闊さへの後悔なのか、テーブルに突っ伏したまま声をあげ激しく震え始める千葉秀夫。心配して近寄ろうとする双見 光を「…………寄るなっ…」とはねのける千葉秀夫。かすれる声で「……見るんじゃあないッ……………!!」とふりしぼりながら双見 光を睨みつけたその顔は、しわくちゃにしぼんでおり目玉だけが飛び出そうに大きかった。驚く双見 光。
6月29日発売のスピリッツ31号より『風都探偵』『aが最後の希望』編の概要をご紹介。
■第180話『aが最後の希望 3 / 不老不死』
テーブルに突っ伏し、皺だらけで目玉がとび出そうな凄まじい形相で「フヒィーッ フヒィーッ」と苦しい息をする千葉秀夫。どうにか息を整えることに成功すると、普段の子供の顔に戻る。ふらつきながら立ち上がり、突っ伏していたテーブルに腰掛ける千葉秀夫。
「…思った通り……見た目のままの子供じゃ無かった……って事か、……秀夫さん」と双見 光。
「……あなたにだけはこれを知られたくなかったですよ、光さん」と千葉秀夫。
「俺だけには? どうして?」と双見 光。
「あなたは優秀だ。その上、野心も上昇志向も強い。万灯さんの好みの人材です。ぼくの足もとをすくう材料を与えたくなかった」と千葉秀夫。
「それは買い被りでしょ。万灯さんにとって、秀夫さんより大事な幹部がいるとは思えないけど」と双見 光。
「あなたもそろそろ気づいてるはずだ。あの人にとって本当に大事な人間は一人しかいない」と千葉秀夫。二人はチューブ型の水槽の中のときめを見つめる。「その他はね、どうでもいいんですよ、極論。妹のトワさんですら、平然と犠牲にするんだから」と千葉秀夫が続ける。
しばしの沈黙。
千葉秀夫が告白する。「もう秘密にしても意味ないですよね。お察しの通り、ぼくは見た目通りの年齢ではない」「不老不死なんです。特定の条件さえ満たし続けていれば、ね」
目を見開いて千葉秀夫を見つめる双見 光。秀夫は続ける。
「そんな死さえ超越したぼくが、はじめて感服し、畏怖した人物… …それが万灯雪侍です。ぼくの価値を見い出してくれた恩はもちろんありますが、それだけではない!」「あの鋼鉄のような狂気! あれに触れていると安堵するんですよ! 嫌われたくないし、見捨てられたくない! それだけは耐えられない!」「魔王に出会えた魔物のような心情。ですかねぇ」語りながら狂信者の目付きとなる千葉秀夫。その姿を無言で見つめる双見 光。
ようやく立ち上がる千葉秀夫。自分の肉体を最新に保つための養液に配合しなければならない希少な薬が、財団Xからの供給が途絶え底をつきつつあったところに、ときめの精神改造のためにも必要となり、限界を迎えた。万灯の最優先であるときめへの処置は必須、自分の醜態もさらせない。だから、禁を破って真・風都から抜け出し、万灯に知られずその薬を入手するしかない。ロードメモリの流出を早期に発見できなかった上に、自分の都合で街から出ようとしている、これを報告されたらアウトである。そこまで説明して「どうします、光さん?」と問いかける千葉秀夫。
踵を返し研究室から出て行く双見 光。「…………報告しますよ」「『水槽の中のときめさんは美しかった』……『順調そうでしたよ』……ってね」
双見 光が退出する姿を見送った千葉秀夫は、懐からビゼルを取り出す。
鳴海探偵事務所。翔太郎がコーヒーを入れている。家を失って事務所に居候している店長(元サンタちゃん)の姿が見えないことを亜樹子に聞くと、街の調査ついでに動物たちの住処を探しているのだと教えられる。ミックはケージの中の一匹の猫と仲良くしている。亜樹子は翔太郎の入れたコーヒーを口にして、翔太郎が心ここに在らずの時だけに可能となる「美味さ」を感じてしまう。
そこに激しい足音が聴こえる。照井を期待する翔太郎。
叫び声とともにドアを蹴破って入ってきた露出度の高い服装の女性は、手にした鞭でいきなり翔太郎を絡め取ると足下に引き寄せ、右足で踏み付ける。風都博物館の現館長、轟 響子だった。「お待ちかね! 助けに来たわよ、翔太郎くん!」
そこに「やあ、待ちかねました!」とフィリップが現れる。
フィリップの右手にぎゅっとしがみついて「嬉しいわあ! 頼ってもらえて!」と轟 響子。
そしてフィリップが本当に呼んだ人物も入室してくる。それは『死神はlの顔』編に登場した、園咲琉兵衛の最後の知恵袋「L・A・S・T」の唯一の生存者、遺伝子工学者の咲夜栄介だった。咲夜は現在は風都博物館の顧問だから館長経由で依頼しただけだとフィリップ。自分が必要とされてないことを知り、へなへなと座り込む轟 響子。
咲夜は、ガイアメモリの人体に対する影響について自ら抜粋したという資料を大量に持ち込んでいた。「私はもう園咲さんのした事から目を背けないと誓った。少しは街の役に立たなくては、お父さんの罪と今も戦い続けている君に申し訳が立たんからね」
礼を言うと咲夜を連れて再び地下へと去って行くフィリップ。
残される翔太郎、亜樹子、床に座り込む轟 響子。
その時、翔太郎に照井から電話が入る。照井はもう風都警察署の事務室を出て、愛車の傍らにいる。「こちらも進展した。すぐ来てくれ。ここにもおまえにとって頼もしい助っ人が来てるぞ」と照井。
誰の事かと訝しむ翔太郎に対し、「現地で会おう。そこに千葉秀夫が現れ、奴のドライバーなり、ビゼルなりを押収できれば……新しい突破口が開ける!」と照井。
満月の夜。大きな倉庫の扉を一人で開ける千葉秀夫。息を切らしよたよたと歩みを進める千葉秀夫の正面、大きな「X」のロゴの下に「astogurion」と印刷された箱が目に入った。
7月13日発売のスピリッツ33号より『風都探偵』『aが最後の希望』編の概要をご紹介。千葉秀夫の正体が匂わされます。
■第181話『aが最後の希望 4 / 千葉秀夫は殺せない』
鳴海探偵事務所の地下ガレージ。デスクに向かうフィリップを見守る亜樹子と遺伝子工学者の咲夜栄介。初めて入った地下ガレージに驚きと感激の声を上げる轟 響子。ドーパント用のガイアメモリを人体に影響なく転用することはほぼ不可能だという結論に達するフィリップと咲夜栄介。人間に使えないのであればロボットとかに使わせてみれば、というアイディアを出す轟 響子。例えばメモリガジェットに使用したとするとガジェットのAIが悪影響を受け暴走する危険がある、とスタッグフォンを起動しながら、そのアイディアを否定するフィリップ。人体への悪影響を完全に消し去ったWやアクセル用のメモリを作った園崎文音のガイアメモリ精錬精度が驚異的なのだと語る咲夜栄介。ドーパント用ガイアメモリを使用していた園崎家の面々がドライバーを使用しながらもメモリの悪影響を受けていたとしか思えないことに、フィリップの母の驚異的な技術を納得する亜樹子と轟 響子。Wの身体や武器に付いているメモリスロットは全て肉体の一部であり、影響を受けずにはいられない、かといって今の自分には母のレベルの精錬は無理だと、行き詰まり悩むフィリップ。「こういう時こそ私がなんかホームラン打たんと!」と素振りポーズを繰り返す亜樹子は、飛行するスタッグフォンをキャッチすると、暴走してもよいようなバカみたいなAIガジェットを作ればどうかと言い出す。咲夜栄介や轟 響子と意見を交わす亜樹子。フィリップは、何かを閃いたのか、立ち上がるとリボルギャリーぎりぎりのところまで歩き遠くを見つめる。「…………亜樹ちゃん」「出たぞ。場外ホームランだ……!」と振り向くフィリップ。え!っと驚く一堂。その時、フィリップの腰にWドライバーが出現する。
外は満月の夜である。大きな「X」のロゴの下に「astogurion」と印刷された箱をボーンズに倉庫から運び出させる千葉秀夫。本人は箱の山の上に手を付き、苦しそうである。
「………大荷物だな」
その声にビクッと驚く千葉秀夫。
「こんな夜中にお引っ越しかい?」とその声は続ける。
倉庫内の照明がオンになる。倉庫の入口には翔太郎と照井が立っていた。翔太郎の腰には既にWドライバーが巻かれている。「なんなら手伝うぜ。アストグリオン運び…!」と翔太郎。
低い唸り声を上げ今にも彼らに飛びかかりそうなボーンズを制し「……あーあ、嫌な事は重なるもんだ」と千葉秀夫。
「アストグリオンの名まで知っているとは… またフィリップさんの入れ知恵ですね」と千葉秀夫。「まーそんなとこだ。相棒には伝えた。すぐ飛んでくると思うぜ」と翔太郎。「だがここを見つけられたのは照井の功績だ」
歯ぎしりするかのような表情の千葉秀夫。
「…プラス、強力な助っ人のおかげさ」と言う翔太郎に、「助っ人? どこのどいつです?」と千葉秀夫。
スッと右手を上げ「明快にお答えしよう」と声を上げた男と、もう一人が倉庫の中に入って来た。
声の男は右手を左隣の翔太郎の肩に置くと、「この左翔太郎に救われた…かつての親友だ」と名乗った。
それは『迷路棟のh』編に登場した、東風大の准教授だった本条隼人と不動院春馬教授だった。
アストグリオンが千葉秀夫の肉体維持に不可欠な薬品だということは、ハルバー・ヘルスタイン博士は迷路棟にいる頃からそれを必要としていたはずだと考えた照井が、本条隼人に捜査協力を依頼、保護観察扱いで保釈した。さらに過去に詳しい不動院教授にも声をかけたのだった。
ここ、東風大の農学部がある霞谷キャンパスは、本条隼人が財団からヘルスタイン博士の遺産の調査を命じられた際、施設全体の再探索を命じられた場所であった。そして不動院教授は霞谷キャンパスから迷路棟のヘルスタイン博士宛に定期的に荷物が届いていたことを覚えていた。それらから東風大・霞谷キャンパスにヘルスタイン博士が備蓄していたアストグリオンがあると推理した照井は、隠し倉庫を発見したのだった。
ぬぐぐぐ…っと千葉秀夫。
「………ありがとよ、隼人」「街の一大事だからね。それに……少しでもおまえに償いがしたかった」と拳と拳を合わせる翔太郎と本条隼人。翔太郎は不動院教授にも礼を述べる。
倉庫内にエクストリームメモリが飛来し、フィリップが出現する。驚く不動院教授。立ち上がると翔太郎と本条隼人を見て「見事に見つけたね、千葉秀夫を」と声をかけるフィリップ。
「さて、頭のいいおまえの事だ。もうこっちの次の台詞はわかるよな?」と翔太郎。
「ビゼルを渡せ…でしょ」と千葉秀夫。
「ああ、なんならドライバーでも構わんぜ」という翔太郎に、「やっぱり……ロードメモリを持ってたか」と反応する千葉秀夫。
千葉秀夫「いずれにせよ、ときめさんを助けに行こうというわけだ。残念ながらもう手遅れだと思いますけどね」
翔太郎「んだと?」
千葉秀夫「それに……ぼくが素直に従うとでも!?」
アストグリオンの箱を床に置いたボーンズ達が襲いかかってくる。しかし、一体は右足首が折れて床に転がり、他の何体かも動きが止まり溶け崩れていく。
その様子に驚いた千葉秀夫は急に苦しみ始める。その顔には皺が走り、目玉がこぼれ落ちそうになっていた。
分身体である、ブラキオサウルス・ドーパントの体皮から生成した化石兵を維持できないどころか、本人の肉体維持さえ厳しいほど、不老不死の反動が急速に現れている。
「千葉秀夫、降伏したまえ」「この場でメモリやビゼルを全て放棄するなら、君の生命だけはなんとか維持できるように努力する」と迫るフィリップ。
右手で顔を隠している千葉秀夫。「…驚いたな。ぼくに命乞いをさせる気ですか?」「もう……死なないっていうのに!?」「冗談じゃない。生死を超えた存在であるぼくが、なんで下等なただの人間どもと対等のテーブルについていると思うんです? いくらぼくと同じ科学が生んだ怪物…魔物同士とはいえ……フィリップさんにもそんなことを言われたくはないですね!」
「……君のその不老不死は望んで手に入れたものではないはずだ。実の親から無理やり与えられたものではなかったのか?」とフィリップ。
何かを考え込むかのような千葉秀夫。
「今からでも普通の人間としての人生を送るべきだ。父の呪縛から逃れて……!」「……同じ『魔物』からの提案だ」とフィリップ。
「………………」やはり何かを考えるかのような千葉秀夫。
翔太郎と照井も千葉秀夫の反応に注目する。
「あー……。そうかそうか」「やっと理解しましたよ。フィリップさんはぼくを……千葉秀夫を、フィルデオ・ヘルスタインが父親から不老不死にされた姿だ、と推理していた、って事ですよね……」と千葉秀夫。
「………………!?」呆然とするフィリップ。
「なるほど、そう思えるのも無理はないか。迷路棟に出没していた少年がそのままの年齢で生きているわけだし……」「…ふふっ」と不気味な顔付きをする千葉秀夫。
その顔を見た不動院教授は腰を抜かして恐れおののく。「あのっ!………あの目はっ……」「ま…………まっ………まさかっ……!」
仮面ライダー達に背を向ける千葉秀夫。「そんなに驚くことはないだろう? 不動院くん…」「あの時、ちゃんと君に言ったじゃないか……」
かすかに振り返って言う、「『僕は見つけたよ。死なない方法を…!』…………とね!」。その表情は、不動院教授にはハルバー・ヘルスタイン博士に見えた。
何かを悟るフィリップ。
7月27日発売のスピリッツ35号より『風都探偵』『aが最後の希望』編の概要をご紹介。千葉秀夫との対決は次回から。
■第182話『aが最後の希望 5 / 本物の悪魔』
東風大・霞谷キャンパスの隠し倉庫の中。
フィリップが自分をフィルデオ・ヘルスタインだと誤解していることに気を良くしてか、饒舌に身の上を語る千葉秀夫。
「さすが、フィリップさんは優秀だ。半分は合ってます。フィルデオ・ヘルスタインは不老不死の実験台にされた少年…… そこまでは正しい。だけど…そのままフィルデオが現代まで生きてきたわけじゃないんだ。僕が見つけた死なない方法とは……新しく若い器に自分の精神を移し替えて生き続ける事だったんですよ! この肉体はフィルデオのものだが、僕は違う! その中にある精神、即ち僕のかつての名は…!」
「ハルバー・ヘルスタインだ………!」
千葉秀夫にヘルスタイン博士を感じて腰を抜かしていた不動院教授が、照井と本条隼人に両脇を支えられてようやく身を起こす。「ヘルスタイン博士が……生きていた…! 呪いがっ……現実にっっ!」
「酷いな、不動院くん。現実になったのは呪いじゃない。僕の理想だよ」と千葉秀夫。
「…嘘だろ……… だったらてめえは…実の息子を自分の生贄にしたって事なのか!?」と翔太郎。
「ややオカルト的ですが正しい表現ですよ、左さん。僕は長年この方法を模索していたんだ。どう肉体を改造しても寿命は永遠にはならない! ならばどうすればいいか…………」
「乗り換えればいい!」
「あなただってバイクが古くて動かなくなったら新車に替えますよね?」
「僕は自分の器として息子・フィルデオを手に入れた。彼にも妻にも……愛などは欠片も感じていなかったですよ。ただ自分と肉体の適性が合う人間さえ確保できればそれで良かった。僕自身には死を遅らせる事にしか使えなかったアストグリオンでしたが、フィルデオには大きな効果があった。投薬さえ続ければ相当な年月、若さを維持できる肉体に改造できました。」
「そこまではいい。だが行き詰まった。脳移植などの物理的な方法ではどのようにしても生体反応的にバグが生じる事が判明した。移植後、拒絶反応で急死する可能性もあるし、フィルデオでうまくいったとしても次以降に危険がつきまとう! 脳そのものでなく、人間の精神を抽出する方法はないのか… 一つだけあった!」
「…………思念波!」「…か!」フィリップが言葉を発する。
「そう! 素晴らしい! 大正解です!」千葉秀夫が叫ぶ。
「僕は自分の精神の全てを思念波に変えて肉体に流し込むシステムを発案・構築した! これなら強い思念波特性の人間であれば誰でも僕の器にできる! ハードディスクにデータを流し込んで書き換えるように! 実験はハルバーの肉体の限界ギリギリで成功し、僕はフィルデオの身体を使って子供に戻る事ができました!」
「だから……万灯はああ言ったのか… 裏風都に精神と肉体を分離するテクノロジーの持ち主がいる……と。それが千葉秀夫おまえだった。」「万灯トワの精神を思念波に変換し、肉体から取り出して裏風都と一体化させたんだ!」とフィリップ。
精神と街を一体化したという事実に驚く照井。
「…ふふふっ、いけないいけない。喋りすぎたな。フィリップさんの頭脳をわずかでも上回れたのが嬉しくて…」と笑みを浮かべる千葉秀夫。
「……信じられない。そんな悪魔のような研究をして…我が子まで犠牲にして…!なおかつ平然と子供のふりをして生き続けていられるなんて!」と陰鬱な表情の本条隼人。
「……子供のふり? わかってないなあ…」
「『ふり』じゃないですよ! 事実子供なんだ!」と声を荒げ自分の胸を叩く千葉秀夫。
右手の人差し指を立てると「万灯さんには忠誠を誓っていますがただ一つ! 僕を年上扱いする事だけは遠慮してもらってます!」
その鬼気迫る様子に押される照井。
「……そうか。フィリップさんが僕をフィルデオと誤解していたのはあの出会いのせいですね?」千葉秀夫が語ったのは、『bたちの宝物』編で初対面だったフィリップに対し、自分が悪人の道具とされていたことに対する「憎しみ」について尋ねた事だった。
「あれを父親の実験台にされたフィルデオの言葉だと思った、と。あの時の僕の怒りの感情に偽りはなかったですよ。あなたにはとてもシンパシーを感じた…… 僕も父の実験台でしたからね………!」
「…………なんだって……!!?」とフィリップ。
不老不死の研究はハルバーの父・フィルデオの祖父から始まっており、ハルバーは父親の実験の副作用により、幼い頃から、現在皆が「ハルバー・ヘルスタイン」の姿として知る晩年の顔と肉体であり、その姿に年齢が追いつくまで顔を隠して生きてきたという。父の死後財団と出会い、迷路棟に籠り老衰死の恐怖と戦いながら研究を続けていたのだと。
「僕は獄中死寸前だったって事ですよ……! だからね、いいじゃないですか。フィルデオの身体をもらうぐらいは…… 父にされた事をしたまでだ」
翔太郎以外の一堂が唖然とする。
「僕は奪われた少年時代を取り戻した! ちゃんと『子供扱い』してくれなきゃあねえ! ははははっ……!」狂気の笑い声をあげる千葉秀夫。
唖然とするフィリップの横を、翔太郎が無言で進み出る。
[ヒート!]
翔太郎はヒートメモリを起動すると手にしたスタッグフォンに挿入する。
ライブモードに変形したスタッグフォンは炎のクワガタムシと化し、千葉秀夫の傍らのアストグリオンの箱を貫いた。発火するアストグリオンの箱。
脱いだジャケットで必死に消火しようとする千葉秀夫。「これがどれだけ貴重なものか! 一滴が黄金に等しいんだぞ! なんてバカな真似を………っ!」
「…………知った事かよ……!」
その言葉に振り向いた千葉秀夫を睨みつける翔太郎。
「…普通の人間はなあ……自分がやられた嫌な事は他人にはしねえように生きるんだよ!てめえみてえな底なしの外道になるくらいなら、俺はバカで下等なただの人間で結構だ!」
フィリップも前に進み出る。「同感だ。ぼくも悪魔呼ばわりされるような魔少年だったが、本物の悪魔は格が違う。おまえを上回らなくて本当に良かった。相棒同様、おまえにはかつてない嫌悪感と怒りしかない!」
Wドライバーを装着した二人で一人の探偵が並び立つ。
千葉秀夫の表情が変わる。
ジャケットを投げ捨てドライバーを装着する千葉秀夫。
「…………もうここまでだね。僕のメモリは目立つからなるべく使いたくなかったが………… 生命には代えられない!」
[ブラキオサウルス!]
千葉秀夫が起動したガイアメモリをドライバーに挿入する。
変身・巨大化した千葉秀夫/ブラキオサウルス・ドーパントが倉庫を押し破り、夜の東風大・霞谷キャンパスにその巨体を現す。「おまえたち全員を駆逐して守らなくては! この薬を…いや! 僕の永遠の生命を!」
崩れる倉庫の中。
「安心しろ、千葉秀夫。永遠に生きる心配など、もうしなくて済むようにしてやる………」ドライバーを装着する照井。「おまえを裁く! この街の法でな!」
[アクセル!]
「変ッッッッ身!」
[サイクロン!][ジョーカー!]
「変身!!」
ブラキオサウルスの頭部に向かって一直線に跳躍するW。ブラキオサウルスの腕→肩→首と飛ぶように駆け上がるアクセル。
Wとアクセルのダブルキックがブラキオサウルスの顎を蹴り上げる。
8月17日発売のスピリッツ38号より『風都探偵』『aが最後の希望』編の概要をご紹介。実写ドラマにタブーやゾーンを登場させたドーパントデザインのセンスは相変わらず流石です。
■第183話『aが最後の希望 6 / 代償』
東風大・霞谷キャンパスの隠し倉庫から屋外へと脱出する不動院教授と本条隼人。
まさに怪獣サイズの巨躯を現した千葉秀夫/ブラキオサウルス・ドーパントを目にし、「迷路棟に続いて霞谷キャンパスまで… ……これが…… ……呪いだ……!」とうなだれる不動院教授。本条隼人が「違いますよ。元凶のヘルスタイン博士は生きていた! 彼が現実にやった事です! 呪いなんかじゃない! 犯罪です!」と大きな声で力づける。
ドーパントの頭部に攻撃を加えるWとアクセルの姿を頼もしそうに見上げ、心の中で翔太郎の名を呼ぶ本条隼人。
[エクストリーム!]
[ブースター!]
仮面ライダーが二人ともフォームチェンジし、ブラキオの腕の一振を力を合わせて剣で受け止める。その二人を尾で薙ぎ払うブラキオ。吹き飛ばされる二人だったが、アクセルブースターは途中から自律飛行し、校舎に激突する寸前のWを受け止め、地上に着陸する。
「一気に決めるぞ」とアクセル。
「一気に? 決める? こっちの台詞なんだよ、それは…………っ!」ブラキオの左手のひらから小さな何かが飛び出してブラキオの腹部に向かう。
[エナジー!]
ブラキオの臍かのように露出しているガイアドライバーrexの左側面のスロットに起動されたエナジーメモリが装填される。
その途端にブラキオの両目がライトのように光を放ち始める。恐竜の頭部の形状をした部分から長首とそこから尾の先端まで連なる脊椎様の部分が発光し高音の唸りを上げる。バカンッ 長首の先端の恐竜の頭部が裂けるかのように大きく口を開く。
Wが攻撃に備えビッカーシールドを前に身構える。
ブラキオの開いた口の中が眩く光り、その光が一層強くなる。
「消え失せろ!」叫ぶブラキオ。
しかし恐竜頭部の口内の光は、放たれる前に急に小さくなり消滅した。
驚く仮面ライダー達の目の前で、恐竜頭部の下顎が轟音を上げて地面に落下する。
そして発射へと向かわなかったエネルギーは、ブラキオの脊椎様の部位の各部でボコボコボコッと膨れ上がり破裂した。この勢いで、下顎の外れた恐竜の頭部が吹っ飛び仮面ライダー達に向かって転がってくる。二人が避けると校舎の壁を破壊して、校舎内で停止した。
「そ………そんな…… なぜっ…… ううっ!?」ブラキオの肉体は溶け崩れ始めていた。
「やはり……肉体が限界だったようだな。エナジーの過度の充填に耐えられず、ボーンズ同様ドーパントの体組織も崩壊が始まった」とフィリップ。
WCJXは「罪を数えろ」のポーズをとる。「俺たちが言うまでもなく……おまえの身体が過去の罪を数え始めたようだな!」と翔太郎。
叫び声を上げるブラキオ。
その体躯は急速に縮小し数メートル程度までになり、地に両手を付く。苦しそうな息づかいである。
「……まだだ! ……嫌だ! ……こんなところで僕の永遠の生命を途絶えさせるわけには…!」
身体を起こすと叫び声を上げながらWに襲いかかるブラキオ。
エクストリームメモリを一度閉じ再び開くW。
ブラキオの渾身の右パンチは空を切り、Wは思わぬ位置に移動していた。
「息子の生命を横取りまでして、もう充分に生きたろ。そろそろ仕舞い時だ」
Wがゆっくりと浮遊する。
[エクストリーム・マキシマムドライブ!]
「ダブルエクストリーム!!」
WCJXの必殺キックがブラキオのボディにヒットする。
悲鳴を上げながら激しいスピードで吹き飛ばされ校舎に激突するブラキオ。
校舎の壁に空いた穴から千葉秀夫が、息を切らしよろけながら歩み出る。
ドライバーからブラキオサウルスメモリを抜こうとする千葉秀夫だったが、その手が抜き取るより先に排出され地面に落ちたメモリは砕け散る。
より一層、顔面に老いが現れる千葉秀夫。
「ここまでだ。降伏したまえ」とフィリップ。
無言で千葉秀夫へと近付くアクセルブースター。
「やめろっ! 近寄るなぁぁっ!」叫ぶ千葉秀夫。
「往生際が悪いとはまさにこの事だ! 逮捕・連行する……ッ!」千葉秀夫に手を伸ばすアクセル。
千葉秀夫の表情がこわばる。
その時凄まじい斬撃が水平に走り、Wとアクセルが後方へ飛び退る。
コロン…コロロロン…
中脚と後脚がない人間大の真っ白いゲンゴロウのようなモノが、尻の先を下にして立ち上がっているかのように浮遊しており、まるで起き上がりこぼしのようにふらふら揺れている。仮面ライダー達を退けた右腕は太く鋭利なハサミの片側の刃のようである。頭部には右上・左上・右下・左下の四隅にラッパのような突起がある。顔面には目か口のようにも見える七本のスリットが顔面の中心から放射状に存在する。
ナイト・ドーパントであった。
双見 光が数人の黒服を従え裏風都から出現した。
「光さん……僕を助けに? なぜ………? こっちの街に出たら……あなたまで万灯さんに罰せられるかもしれないのに……」と千葉秀夫。
「さあ、なぜですかね? 理由は『なんとなく』としか言いようがない………… オレにも『なんとなく』理解できただけですよ、あなたの言う…『魔王に出会えた魔物のような心情』ってやつが…」と淡々と答える双見 光。
その言葉に安堵したのか、一瞬表情が緩んだ千葉秀夫は力尽きたか気を失って傍らのナイト・ドーパントに倒れ込む。
双見 光は千葉秀夫とアストグリオンの回収を黒服達に命じる。
それを阻もうとする仮面ライダーの前にナイト・ドーパントが立ちはだかる。
アクセルブースターのエンジンブレードを、細長い楕円で丸みを帯びた甲虫の背のような左腕で受け止めるナイト。
黒服が千葉秀夫を背負って救出しようとする様子を見た仮面ライダーは決着を急ぐ。
[プリズム・マキシマムドライブ!]
[エンジン・ブースター・マキシマムドライブ!]
ボウム ナイトの左腕の、丸みのある山のような部位が身長ほどに膨れ上がる。
二人の仮面ライダーのマキシマムの斬撃でも、その表面を裂くことしかできない。
右腕の斬撃で二人の仮面ライダーをはね飛ばすナイト。
右腕を伸ばし360°高速回転しながら襲いかかるナイトの斬撃に圧倒されるWCJX。
2対1であることからナイトをもう一体増員する双見 光。命じられた黒服の一人がナイト・ドーパントに変身する。
Wを襲うナイトの後方空中から斬りかかろうとするアクセルブースター。
しかしその背をもう一体のナイトの回転斬撃が襲った。
ダメージを受けるアクセル。その傍らに折り立つW。
コロン… コロロロン…
対峙する二体のナイト・ドーパント。